【香港映画】西遊記~はじまりのはじまり~ の感想 西遊記って妖怪ハンターの話だったの!?

チャウ・シンチー監督の映画「西遊記〜はじまりのはじまり〜」を見ました。孫悟空や三蔵法師の話はなんとなく知っているつもりだったんだけど、実はあんまり知らなかったんだなと思いました。本当に小さい頃見た漫画とか童話みたいな本を読んだくらいだったのかも。だからこの映画を見ていて西遊記の「はじまりのはじまり」の部分のことを描いてるのかな?ふ~ん?ってな気分で見ていたら、ラスト近くになって、ああなるほどそういうことだったのかとやっと腑に落ちたのでした。チャウ・シンチーの作品ですからもちろん面白いんだけど、ちょっと感動しちゃったりもしたんだなあ。

 

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まず、三蔵法師という名前は知っているけど、玄奘っていう名前でもあるっていうことに思いが至らなくてですね。そういえばそうだった気がするって後で思ったけど、見てる最中は出てくる人達がどう関係してくるのかな・・・っていうのを五里霧中のつかみどころのなく見てた感じだったんですよね。だって妖怪ハンター=三蔵法師ってなんだか繋がらなかったんですよね。さすがに猪八戒は豚だっていうのは知ってるから分かったけど、最初に出てきた魚の妖怪が沙悟浄だとは分からなくて頭の中が???って感じになってしまった。そうかこれはどうやら日本では沙悟浄は河童ということになっているけど、原作ではただ水の妖怪である様子。日本ではオリジナルな解釈で河童になってるんですね。そっか、じゃあ私の理解が足りないだけではなかったのだな。

あとはスー・チーが演じていた段が使っていた腕輪はきっと孫悟空の頭にはめられるんだろうなってことは分かったんですけどね。そうそう基本的に好きな男を追いかける女という登場人物があんまり好きでない私なんですが、段はサバサバしていて魅力的なキャラでしたね。追いかけるにしても彼女みたいだといいな。じっとりしてる系は見ててあんまり気持ちよくなくて。だから段みたいなはっきりしているタイプがそれでも愛を貫く姿というのは反対に素敵に見えて、彼女のラストの行動に胸を打たれてハッとなってしまったのでした。演じてたスー・チーもとても良かった・・・

ショウ・ルオの演じてた空虚王子の存在も良かったです。なんだか得体のしれない人が沢山出てくるんだけどちゃんとまとまっているのが凄いなあと思って見てたんですよね。色々出てきても真ん中にある本筋がちゃんとしてるストーリーではありますしね。

この映画は「はじまりのはじまり」なので三蔵法師と仲間たちが出会うところまでを描いているだけなので、もちろん続編があるみたい。「西遊記2〜妖怪の逆襲〜」というのがすでに公開されているみたいなのでこれも是非見たいなあ。

チャウ・シンチ―が出演していなくても根底に流れる彼の哲学みたいなものがちゃんとあるな。そうこれこれって思わせてくれるのって幸せだなって思ったのでした!

 

西遊記~はじまりのはじまり~が見れるのは・・・



【香港映画】コールド・ウォー 香港警察 堕ちた正義 の感想 前作の友情を感じさせたラストから一転!

「コールド・ウォー 香港警察 堕ちた正義」を視聴しましたよー!これはコールド・ウォー 香港警察 二つの正義の続編です。1作目が面白かったので期待しちゃいますが、これまた良かったですよ~ 主要キャストは変わりませんが、他に大物俳優がこれでもかと投入されるのでわお!って感じでございます。

 

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今回の始まりは、警官誘拐事件を解決したショーン・ラウ(アーロン・クォック)が出世して警察署長に、MBリー(レオン・カーフェイ)は息子のジョーの不祥事のこともあり一線を引いたという状況のところから。ラウの妻が誘拐され、交換条件をして刑務所にいるジョーの解放を要求される。ジョーの背後にはもっと強大な黒幕がいたのだった、という感じでストーリーが進んでいきます。これは絶対に前作から見た方が良い系の映画ですね。今作から見たらちんぷんかんぷんかもしれないなあ~なんて。

いやーそれにしてもこのシリーズのショーン・ラウ役はアーロン・クォックにぴったりですなあ。彼ってあんまり表情豊かじゃないタイプだと思うんだけど、それがラウの冷静沈着な雰囲気にしっくり来る感じなんですよね。これは当たり役だなあ。

前作では、息子の罪を糾弾し、ラウの背中を推し、警察としての矜持を守って善の方でとどまっていたリーですが、今回はジョーの黒幕の組織からの誘惑に揺れ動く姿が描かれます。そして罪を犯したとは言え、やはり息子への愛情を捨てられない父親の姿も見せたり、ラウに比べたらリーは人間臭いなあって思う。対照的な人物設定がいいんですよね。

リーの息子役のジョー役のエディ・ポンはレオン・カーフェイと顔の形がちょっと似てるなあ。エディ・ポンは台湾俳優さんで台湾のポンフー島出身らしい!私の行ってみたいところ~~ 彼も意志が強そうな表情がジョーなりの信念の貫き方に相応しい気がして良いキャストだなあと思います。ちょっとミステリアスな雰囲気もありつつね。

そしてジョーを重用していた黒幕の存在が明らかになりますが、演じるのがチャン・クォチュー!チャン・チェンのパパですよー。もうチャン・クォチューのそこにいるだけでただ者ではない雰囲気ってのはすごいね。葉巻をくゆらせる姿とか、ひえー渋い~~ってなります。ま、今回の役は自分たちの利益のためにMBリーを長官にしたいっていう悪い人の役なんだけどさ。

そして、もう1人大物俳優が!チョウ・ユンファがオズワルド・カン役で出てきますよ。彼が弁護士を演じてる映画なんて見たことない気がするなあ。だけど全然違和感なくてさすがだなあと思いましたよ。ショーン・ラウのやり方は気に入らないと言いながら、俯瞰的な視点を持つ彼が結局解決のキーを差し出して協力するんですね。実際に証拠をつかんだのはイザベルだけども。

 

しかし、わりと簡単に人が死んでしまうのよねえ・・・ そういうジャンルなので仕方ないのだろうけどね。これまた今作で決着がつききったわけではないので、また続編ありそうな終わり方!でも一体どうなるんだよー!?っていう焦燥感を与えるようなラストではなくて、これまだ続くんだろうけどどうなるのかなという期待感を与える感じのうまい一区切りのつけ方だと思う。あまりにも中途半端な終わり方をされるとイラっとしますからね。TENみたいなのは好きじゃないなあ。という訳で私はこのシリーズに関しては続編も楽しみにしてます!

 

 

コールド・ウォー 香港警察 堕ちた正義が見れるのは・・・



【中国映画】いつか、また の感想 すべてを手放したその先にあるもの

中国映画の「いつか、また」を見ました。ハン・ハン監督のロードムービーです。出演者はかなり豪華でウィリアム・フォンとチェン・ボーリンにウォレス・チョンまで出てます。彼らがやや小汚い恰好で出てくるのでイケメンの無駄遣い(失礼!)って気もするんですけど、そうかーこんな風にしてると普通の人に見えるな~という発見も出来て良かったです。映画自体もなかなか良かったんですよ!

 

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中国の最東部にある島出身の3人が自動車で西へ移動していくストーリー。途中で仲間と別れたり、知り合いに出会ったり、人と知り合ったり、知らなかった事実を知ったり、車を盗まれたり、と様々なことが起こるのを見ているとロードムービーっていうのは人生の縮図なんだな、と思うのです。

人と出会い、そして別れの繰り返し。もしかしたら物に対してもそうかな。手に入れたり手放したりの繰り返し。原題の「后会无期」はもう会わないという意味だと思うので、邦題の「いつか、また」はその後に「会えたらいいね。でも会えないんだろうな。」って感じかなあなんて想像する。そういう内容が淡々と描かれてて、時には笑える感じででなかなか良い空気感なんです。

彼らが途中で会うコールガール役のワン・ルオダンがめちゃめちゃ素敵だったな。腐女子探偵★桂香で見たことがあるだけなので、普通の綺麗なお姉さん役良いですね。やっぱりクリスタルにちょっと似てる気がするなあ。

馬浩漢(ウィリアム・フォン)と江河(チェン・ボーリン)の性格は後向き、前向きなそれぞれの傾向をちょっと対照的に描いてたのかな。ロケットを見に行くと言っていた阿呂(ウォレス・チョン)が車を盗んで行ってしまった後にロケットが墜落した残骸を見て、どう捉えるのかっていうのが人生の分かれ道なのかなって。だから彼らが別れるシーンはしみじみしちゃう。犬も江河の方へ行っちゃうのは笑っちゃうけどちょっと切なかったりもしてね。鼻が利く犬なんだな・・・。ふう。

彼らの道中はどちらかというといいことなんて無かったと言える気がして、それは今の若者が生きている世界への感覚と似てるのかもしれない。でもラストの江河の後日譚みたいなエピソードを見ると、視聴者の心に「希望」をわざとらしくなく自然に植え付けてくれる感じ。うまいな。いいことなんてあまりないかもしれないけど、でも何が起こるか分からないよって。

物も人も手放したその先に、それでもまた出会う人には出会うし、そして得るものもあるということなんだろう。きっと。余韻が残るなかなか好みな映画でありましたよ!そうそう、音楽は小林武史なんですが、雰囲気があっててこちらも良いと思いました。

 

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【香港映画】コールド・ウォー 香港警察 二つの正義 の感想 管理組と行動組の攻防から目が離せない!

香港映画の「コールド・ウォー 香港警察 二つの正義」を見ましたよ~ 動員がすごかったと聞いたので期待して見たのですが、期待にたがわぬ面白さ。いやー役者さんたちがみんないいです。それにしても警察組織というのはどこの国でも「現場叩き上げ」派と「警察大学出身の内勤」派の対立の構図がある気がしますね。それがつまりタイトルの二つの正義に繋がるって感じかな。

 

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M・B・リーを演じるのがレオン・カーフェイ。現場叩き上げの方。行動組っていうらしい。

ひえー歳をとったな~とは思うけど、やっぱりカッコイイですね。素敵な歳の取り方だな。演技の幅が広がってるのを見ると歳をとるのも悪くないですねえ。息子のジョーも警察なんだけど、ジョーは過激な方法も辞さないやり方で自分の正義を貫こうとする。私にはジョーの言う正義があんまり理解できなかったかな・・・ 自分の利益のためだったと言えなくもないので、それが含まれると正義を語れなくなる気がする。

ショーン・ラウを演じるのは、アーロン・クォック!彼は渋くはなったけど、あんまり変わってないように思えるかも。こっちが事務出身の管理組の方。このキャスティングどっちもいいよね~ もうこの時点で控え目に言って最高。何より、アーロン・クオックは立ち居振る舞いがピシっとしててノーブルでいいんですよね。保安管理班副長官役がピッタリでした。

この二人が香港警察の次期長官の座を巡って対立しているんですね。それが事件の発端とも言えるのかな。本人たちの意図というよりは利権がらみで周りがしのぎを削っている感じかな。

そして、チャーリー・ヤンも出てた~!キュートだった彼女もすっかり大人の女性で、警察の中でもなかなか高い地位についててビックリですよねえ。

そしてビリー・チョンを演じたアーリフ・リーがなかなか良かったんですよ。警察内の汚職を操作する機関の人の役なんだけど、生意気な口をきいて自分より上官にズバズバと切り込んでいくんですが、いるいる歳が若いのにこういう感じの小生意気な人!って感じでリアルでした。まあでも実はショーン・ラウの手の平の上だったんですけどね。そういう顛末もなかなか小気味が良かったですねえ。お、彼は武則天 -The Empress-に出てるんですね~

 

映画は最初からいきなり警察車両ごと警察官が拉致されて消えるというビックリな展開から始まり、カーチェイスはあるし、対立する二人のにらみ合い(痺れる)、そして花火まで爆発しますからね。ストーリーも面白いんですが、特攻も派手なのでそういう意味でも目が離せない感じ。まあラストは続きがあるよ~って匂わせがあるタイプなんですけど、見るっきゃないって感じですよね。そういえば、保安局の局長役でアンディー・ラウまで出てきてビックリしたな。ちょい役ですけどね。

あっという間に見終わって、あ~面白かった!って言えるテンポもいい映画でしたよー!ちなみに2もすでに見たのでまた感想書きます!

 

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【台湾ドラマ】共犯 の感想 孤独な魂が泣いている

学生の頃は、学校が世界のすべてで、そこではみ出してしまったらどこにも居場所はないのだと思ってしまう。そんな年齢の子たちが主人公なのが台湾映画の「共犯」です。一人ぼっちになりたくない、仲間が欲しいという切実な気持ちが事件を引き起こしてしまう。彼らの孤独な魂が泣いている、そんな風に感じる切ないストーリーでした。

 

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台湾映画はどこかナイーブな空気感があるように感じるのは、それは国の置かれた立場だとか、自然だとかそういうものも関係あるのだろうか?映画によってストーリーは全く違うのだけど、それでも似た空気感があるように思う。他の国の映画でもその傾向はある気がする。台湾の山や木は匂い立つような緑で、少し湿った空気がむせ返りそうに濃厚なのは南国特有の空気なのかしら。

自殺した少女、その死体を目撃した3人の少年、カウンセリングを受けさせられた3人はその少女の自殺がいじめによるものだと思い、その相手を探して彼女の代わりに仕返しをしようとする。でもそれは仲間が欲しかったホアン・リーファイのでっちあげだった・・・ それが思いもよらない結果を生んでしまう、というようなストーリー。

ちょっと独特の描き方なのかもしれないんですが、繊細な彼らの心の動きがじわじわと切なく胸に迫ってくる映画でありました。大人になったら忘れてしまうような感情なのかもしれないけれど、あの頃には切実で。事件を解決するとか、仕返しをするという同じ目的で動くと結束って固くなるんですよね。それがタイトルの共犯に繋がるのかな・・・ だから目的を作り出すことで仲間で居続けようとしたホアン・リーファイの気持ちが私には分かる。正しい事ではないとしても彼は3人で仲間でいたかったんだろうな・・・

若くどこか脆い彼らと、美しい映像がマッチしてなんだか詩を読んでるみたいな気がしました。6人の主要キャストの中で演技経験者は2人だけなんだって!他の4人は演技が初めてということなんだけど、見てる時にはそんなことは全然分からなくて、みんな良かったですよ。特に男の子3人がそれぞれの役に合ってて違和感が全くなかったな。もしかしたら、むしろそのせいで演技経験者の二人がちょっと技巧的過ぎたかもしれない。他のメンバーは素直にそのまま自分から役に似た部分を引きだしたっぽい感じがするのだけど、ホアン・リーファイ(ウー・チエンホー)とチュウ・チンイー(ウェン・チェンリン)は役を演じてるって感じなんです。なんとなくなんですけどね。

いじめられっ子役のウー・チエンホーは、ちょっとあざとすぎたかな・・・ おどおどした感じとか上手に演じてるんですけど、いかにも何かを企んでるっぽ過ぎてね。もうちょっと癖のある感じを減らしたらベターだな~なんて思いつつ。初めて見たわ~って思ったらショコラに出てたんですって。じゃあ見たけど分かんないと思って調べてみたら、阿栗役の人だった!この映画とはまるで別人だ~そりゃ分からないな。

 

どうでしょう?繊細な彼らの心の動きに共感が出来ないとなんじゃこりゃって感じなのかな?私はわりと感情移入してしまって、彼らが普通に歩いている姿を見ても声にならない慟哭が聞こえてくるような気がするのでした。そんな切なく苦しい余韻が残る映画でありました。

 

共犯が見れるのは・・・