【韓国映画】娑婆訶(サバハ)の感想 不穏な空気感からそのまま映画の世界にいざなわれる

サバハをNETFLIXで見ました!色んな宗教があるけれど、その世界観というものがどこか根本でつながっているのかもしれないと思った。それは例えば、各宗教は島みたいなもののようで。本当は地底ではつながっているのに、海に沈んで見えないところはまるで境目のようで離れているように見えるもの。そんな風に感じました。

 

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バラバラに見えた事柄がだんだんと繋がっていく様は見事で収束させていく展開は非常にうまい。すごい力量で視聴者も巻き込まれてしまう。

あと、ファンタジーの出来事なのか、現実の出来事かを曖昧にする装置が差し込まれていてその部分の描写がすごくうまいと思う。閉じ込められた異形の少女、動物園とかじゃなく個人に飼われている象(CGだろうけど)、解脱して若い姿のままでいる術を手に入れた男、などその存在が現実ではありえないようで、実は私が知らないだけで実際にあるものなのかと思わされるようなそんなギリギリの境界線上のものたち。完全に架空のとは言い切れない存在がキーになって、映画の世界の中にぐっと連れて行ってくれる感覚。

イ・ジョンジェの演技はいつも通りで、大変良い具合の胡散臭さが出ていて大好物ですが、チョン・ナハンを演じたパク・チョンミンも大変良かったんですよね。口数が多い役では無く淡々と任務をこなしているのですが、感情を抑えた演技の中で見られる驚愕の表情などが非常にポイントになっていて惹きつけられます。一理ある愛のヒテの弟のギテ役の時はとにかくなんじゃこの人っていう感じの役だったので(いやあれは演技がうまいからこそ本気で私があんな人嫌だって思った可能性もあるな・・・)、この映画では「わーこんな役もできるんだ!」という発見で嬉しかったです。彼が一番印象的でしたね・・・

宗教というものを考える時に思うことは、その人が信じる教義を実行することは自身にとっては正義だけど、他の人にとっては圧倒的にそうではないことがあるのだということ。宗教のせいで起こる対立ではそれがわかりやすく可視化されやすいけど、他のことでとでもきっとそう。誰にとっても絶対的という正義は無いのだ、ということを頭の中に置いておかないといけないなと思ったのでした。誰かにとっての聖戦は、誰かにとってはただの殺戮になりうる。

最終的にいろんな出来事が繋がってひとまず解決したように思えるのに、余計に答えが見つからない気持ちになる映画でした。そこがまた狙いなのだろうけれど。

それにしてもとても興味深かったな。冒頭から醸し出される不穏感で高まる緊張の糸を切らさずに一気にラストまで見せるパワーのある映画でした!チャン・ジェヒョン監督の前作、プリースト 悪魔を葬る者も見てみたくなりました。こっちも牧師さんがでてくるのかー!やはり同じテーマを形を変えて探究し続けることで見えるものがあるんだろうな。画家なんかもそうですよね。

 

娑婆訶(サバハ)が見れるのは・・・
⇒Netflix