【韓国映画】皇帝のために の感想 ヤクザの成りあがり系ストーリーかと思ったらブロマンス要素もあったのかも

イ・ミンギの出演作を見よう月間なので今度は「皇帝のために」を見ました。先日見たロマンチック・アイランドから180度転換して、ナイフでざっくざく人を刺す悪い奴の役です。どこも見ていない空虚な目つきが怖いし、何を考えてるか分からない表情がうまいよなあ。この感じが韓国のノワール映画って感じなのかな?でもしょっぱなから喧嘩のシーンなんだけど、敵が一人ずつ攻撃してくるのが都合よいなあ~ってちょっと失笑しちゃったのだった。

 

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この「皇帝のために(황제를 위하여)」というタイトルは、実はダブルミーニングなのかもしれない。最初は「皇帝」が指すものが、彼らが働いている皇帝ファイナンスなんだなと思っていたのです。でもラストまで見ると「皇帝」はイ・ミンギが演じた「イ・ファン」も指していたのかもしれないと思ったのです。イ・ファンの名前のファンって音は皇と同じなんじゃないかな。多分。

パク・ソンウン演じるチョン・サンハの行動が実はイ・ファンのためだったのか・・・と分かる場面があって、そこでタイトルの意味に思い至ったんですよね。そうするとなんだか話が繋がってくる印象がある。

さらっと見ると何を言いたかったのか分からない、なんて感想になってしまいそうな映画でもあるんだけど、そういう隠された意図みたいなものが散りばめられている気もしたのですよね。

イ・ファン(イ・ミンギ)は元野球選手だけど、八百長に手を染めて捕まってしまったところをサンハに拾われて皇帝ファイナンスで働くことになる。借金取り立てのやくざなんだけど、とにかく腕っぷしは強くて喧嘩が強い。彼の強さは技術というよりどうなってもいいという捨て身の空虚さから来るんだろうか。とにかく刃物で刺しまくるのがヤクザっぽい。プサンという土地柄かな。

クラブのマダムとのセックスシーンも激しい。相手役のイ・テイムは完璧ボディーで美しいけど、最中の顔があんまり色っぽくないかも。そして喧嘩中のナイフで何度もさすシーンの間に突然セックスシーンが挿入されるのがなんのこっちゃと思ってたんですけど、もしかして刺す行為の反復をリンクさせてたってことなのかな・・・なんて急に思いました。ほお。

チョン・サンハ(パク・ソンウン)が、どうしてファンをかばうのかというのは他の部下たちにもずっと言われていたんだけど、それは彼が義理堅い人だからかと思っていたんだけど、それだけではなかったのかなと思わされるラストだった。もしかしてちょっとブロマンス的要素があったのかな・・・と。

ファンは昔からヤクザの序列の中にいたわけではないから、上下関係なんて気にしてなくてその点では奔放なんですね。そういうところもサンハには好ましく写ったのかもしれない。彼はそれを超えられない人だったから。そしてサンハとファンは昔からの因縁もあったし。

 

そんなストーリー展開を見て最初に書いたタイトルのダブルミーニングに思い至った訳です。元野球選手が裏社会でのし上がっていくストーリーなのかと思っていたらそんな単純な話でもなかったのかもしれない。ただ、ファンの感情が全くと言っていいほどあんまり伝わってこないのです。わざとそういう演技なのかどうかは分からないけど。だから余計に難しくて意図が伝わりにくい映画な気がする。

 

見終わった後はなんだかよく分からないなあ・・・という印象だったんですが、少し時間がたってもしかしてそういうことだったのかも?と思う部分が出てきた感じの映画でした。そしてだんだんと意外と悪く無かったかもしれないな、なんて感想に変わってきた感じですねー

 

 

皇帝のためにが見れるのは・・・