【台湾映画】先に愛した人 の感想 愛という目に見えないけれど確かにそこにあるもの

台湾映画「先に愛した人」を見ました。話題になっていたし、ロイ・チウも出てるしで期待して見たんですが、その期待を裏切らない映画でした。すごく良かった。愛する人を失った時のそれぞれの受け入れていく方法。みんな彼を愛していたのだという共通点。だからこそやり切れないけど、その喪失感こそが愛の証だと思うのだった。

台湾ドラマを見て、じわ~と味わい深い作品だったなと思う場合、脚本がシュー・ユーティンだったということが非常に多いんですよね。この映画はそのシュー・ユーティンがシュー・チーイエンと共同で初めて長編作品の監督も手掛けたという作品です。

 

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本当に人間の愛の形は色々だ、と思う。同性愛者のお父さん。でもその嗜好を隠して女性と結婚することを選んだ。その妻、そしてその息子。妻と結婚前に付き合ってた男。死を目前にして本当に望むことをしたいと選んだ道は別れた男と過ごす日々。

死亡保険金の受取人がその元カレになっていたことから、男が死んだ後に必然的に接触することになる。妻と息子と元カレの三人。複雑な感情が合わさって、そしてお互いをやがてどこかじわじわと受け入れていく過程が丁寧に描かれていて、思わず涙を誘う。

保険金の受取人が元カレになっていたのは、病気の看病をしてくれたから。そしてもしかしたら、一度捨ててしまったことへの謝罪の意味もあるのかも。私たちは何かの出来事にちゃんとした理由が欲しいのだなと思った。それさえ腑に落ちればわりと何でも受け入れられるのかもしれない。旦那に裏切られたと傷つく妻もそうだったのだろうか。

ロイ・チウがとても良かった。同性愛者である自分への母親の理解を不意打ちのような方法で得ることになって、死んでしまった愛する人のための芝居ができてやっと彼も前に進めるのだった。あのお芝居は彼にとっては大切な人を送り出すための儀式だったのだな。正式にお葬式を出すような立場ではないけれど、人にはそんなセレモニーが必要なのだ、なんて思いながら見ていた。

お芝居を見ている妻の表情が本当に印象的で。私がどうしてこんなものを見なきゃいけないのよと思っている表情から変化していく。やっぱりそこにあったのは大切な人への愛で、悼む気持ちを持つ者同士ということが理解できてしまったのだ。

愛ってなんなんでしょうね。本当は深く強い愛も見かけはほんの小さなかけらで。それをなかなか拾い上げられずにいるけれど、気づかないだけでたくさん自分の周りに散らばっているのかもしれない、とそんなことを思ったのでした。

今回は同性愛者を扱ったストーリーではあったけれども、すごく本質的な愛を描いていた気がする。息子というどこかフラットな精神の持ち主の存在が実はとても効いていたなと思うのでした。

見て少したった今でも良かったなあと思い出すような映画でした。オススメです!

 

先に愛した人が見れるのは・・・
⇒Netflix