【韓国映画】ペルソナ -仮面の下の素顔- の感想 IUの魅力が詰まったオムニバス形式の映画

「ペルソナ -仮面の下の素顔-」を見ました!これは主役がIUの4作品のオムニバス形式の映画。それぞれ違う4人の監督が演出をしています。これが凄く良かったんですよ・・・ 最近はNETFLIXでドラマや映画を見ていたんですが、見た作品の中で1番くらいに良かった!それぞれが短編映画としても良かったんですが、通して見ることで浮き上がってくるIU、イ・ジウンの魅力、そして人間というものの可能性、複雑さや根底にあるものに触れたようなそんな感覚に陥りました。

 

スポンサーリンク


 

4作品それぞれの監督はこちら。

【LOVESET】イ・ギョンミ
【コレクター】イム・ピルソン
【キスの罪】チョン・ゴウン
【夜の散歩】キム・ジョングァン

私が知っているのは愛のタリオのイム・ピルソン監督くらいですな。なるほど、愛の残酷さを描いているところが彼の作品っぽいです。

このオムニバス映画を作るにあたって、IUからインスピレーションを受けて各作品が作られたのだろうな~ということはよくわかるのですが、個々の単体の短編としてだけではなく、それぞれの作品の繋がりとかストーリーの兼ね合いとかそういう事まで考えて作られたんでしょうかね?そこまでは分からないんだけど、とにかく最初から最後までの流れがあまりにも素晴らしくてとうとう私は最後の「夜の散歩」で泣いてしまいましたよ・・・ その作品中のセリフとか演技のせいかもしれないのだけど、それだけではなくてペルソナ全編を通して見ることで迫ってくる、人生の中にある「生」と「死」その色の濃い香りに酔ってしまったようなそんな感覚になったのでした。

そこにあるのは明と暗のコントラスト。明暗、生と死、昼と夜、少女と大人の女
二面性をあまりにも鮮やかに描き出していて、見ていて苦しいくらい。それはIUの中にあるものでもあり、見ている者の中にもあるものである。特に「LOVESET」の生と「夜の散歩」の死が対照的なのが印象的でした。それでいて彼女一人でそれを体現出来ることからも分かるように、その境目は非常に曖昧なのです。

LOVESETは、テニスの試合なのに擬似セックスのように艶めかしく描写される。すごい。ただのエロではなくてそこには脈々と息づく生の香りが立ち上っていて、その濃厚さに目眩がしそうなのです。膝から流れる血や吹き出す汗が非常にエロティックではあるけれど、性=生なんだなあと。キム・テフンがパパ役というのもめっちゃいいキャスティング!あの「パパじゃない」っていう意味深な台詞も、パパとしても素敵っていうギリギリのラインが素晴らしい。

「夜の散歩」で泣いてしまった。何も悲しくなんてないのに。でもそう、そばに誰かがいてもその他の人のせいで寂しかったと吐露する彼女の気持ちがわかる。死んでしまってもそうやって夢の中で会えるくらい確かな存在のようでいてでももう触れられないというのはどういうことなんだろう。全ての境目が曖昧で、全てが闇に溶けていくようで、それに共鳴したわたしの中の闇が涙を絞り出すのだった。結局、わたしたちは一人で、最後まで孤独なのだと。それを知っている。

一つ一つの作品としても良かったのだけど、すべてを通して見た後に見えてくる流れが素晴らしかったです。オムニバスの醍醐味。人間にいろんな面があるように、どんな面も全て合わさってはじめてひとつになるような。そんな感じ。

このペルソナの2がソルリ主演で撮影が始まっていて、2作品は撮り終えた状態だったそう。IUのがとても良かったので、ソルリのも全作品を通した形で見たかったな。もうそれがかなわないのがとても悲しいけれど・・・

 

ペルソナ-仮面の下の素顔-が見れるのは・・・
⇒Netflix

【中韓映画】逆転の日 の感想 ウォレス・チョン×イ・ジョンジェ出演の心理サスペンス

ウォレス・チョンが出てるからと見ようとした「逆転の日」ですが、イ・ジョンジェも出てて、あれ?これどこの映画?と思って調べてみたら、中国国営映画会社のチャイナフィルムとハイルン、韓国映画会社のドゥタヨンが制作に参加した韓中合作映画らしいです。監督さんも中国の李駿だし、中国が主体で韓国も協力した合作映画と言えるのかなー?なのでカテゴリーは悩んだけど、華流映画の方にしました。

 

スポンサーリンク


 

それにしても、中国映画だと思って見ないと突然のイ・ジョンジェの中国語吹替えにびっくりするかも。いっそずっと吹替えの中国人役だったら良かったんだけど、中国語を話せる韓国人役なのでちょっと無理があるなあ・・・ いくら似てる声の人を選んだとしても吹き替えは違和感がある物だと思うけど、ここでは声が似た人を探したかも怪しいレベルで全然違うので切替の度にハッとしてしまう感はある。話し方って声だけじゃなくて、間の取り方とか話す速度とかね。そういう癖が思った以上にあるので、違和感を覚えるのも仕方ないですね。

ただ、わたしは少し中国ドラマを見るのに慣れてきたところがあるので、こういう時はそういうもんだから・・・と自分に言い聞かせてわりと平常心で見ることができましたよ!訓練の賜物〜(っていうのかな・・・分からないけど)

一応イ・ジョンジェが演じる姜承俊は、設定的には奥さん(ちなみに離婚寸前)が中国人だから中国語に堪能という土台は作ってあるんだけど、だがしかし。その離婚寸前の設定をうまく利用してる風のシーンなんかもあるんだけど、イマイチなんだなあ。ベッカムの質問に答えるところね。ここ、ピリっとひやっとするとこなんだろうけど、「はあ……」って感じでした。なんかここだけじゃなく、全体的にそういうのが多くて、惜しいな〜と思ってしまうのです。郭志達との心理戦が面白いはずなんだろうに、私はノリ切れなかった・・・

ウォレスはいい感じにいやらしい雰囲気を醸し出しててそれは良かったです。カッコいいも胡散臭いも自在に纏う俳優さんだなあ。そこはすごい。

双子を一人二役で演じているんだけど、志華が志達を演じてたのが割と初めからだったようだし、結局ほとんどが志華を見てた感じなのだなあとよく分からん気持ち。

そして心理学者役の郎月婷(ラン・ユエティン)はスーツ姿が素敵でしたー!なんとなく名前に聞き覚えがあると思ったらミッション・アンダーカバーに出てたんだ~!!!あの時も迷彩服とか着てアクションシーンもこなしてたけど、とっても綺麗だったんだよなあ。今回の心理学者役も彼女の知的な雰囲気にマッチしてて良かったな。

タイトルにある「逆転」という言葉で、形勢が逆転するんだろうな~っていうのと、ウォレス・チョンが双子役なので、その双子が入れ替わるんだろうな〜というのは早くからわかっちゃうんだな。まあそれがいつからなのか、いつバレるのかってのが見所なんだろうとは思うんですけどね。
あとはあれか、サッカースタジアムが舞台になってるから、サッカーの試合の内容的に点数の逆転の意も含めてあるんだろうけど、韓国と中国のサッカー事情がわからんので、そこはあんまり緊迫感が理解出来なくて。それは私の予備知識が足りないせいかなと思うんですけどもー

ラストのラストでうまく解決したと見せかけて〜のどんでん返しのところがおもしろかったけど、あのブレスレットは誰のなの!?️ってもう一度映画で内容を確認したくなってしまった。それとも続編的なのがあるという含みなのか、はたまた特にだれってのはきまってないのか、どうなんでしょうね。ここは気になるー もう一回ウォレス・チョンの双子の入れ替わりがどこからだったのかも確認したいので、もう一回見ようかな・・・ そうしたら理解できるところが増えそうな気もします。

面白くないことも無いんだけど、すごくオススメかというとそうでもないという感じですねー

 

逆転の日が見れるのは・・・
⇒Netflix

【韓国映画】新感染 ファイナル・エクスプレス の感想 単純なパニックムービーではなくヒューマンドラマだった!

NETFLIXで「新感染 ファイナル・エクスプレス」を見ましたよー 話題作というのは知っていたんですがなんとなく見るのを尻込みしていたんです。まあでも見てみて分かったことは「私はゾンビが出てくる映画をあんまり好んで見ない」と思っていたら、好んで見ないんじゃなくて「私はどうやらそういう映画がかなり苦手だ」ってことですね・・・

という訳で、前半はギャーギャー言いながら休み休み見ました。犯罪モノとかは見るのは平気なので、血が怖いという訳ではないのだけど、予測のつかない行動をする者が怖いようです。それも大量だし、やたら動きが速いし見ててほんと怖かったです・・・ しかしその印象も後半から徐々に変わって行き、ヒューマンドラマの様相を呈してきたので、なんとか最後まで感想することが出来ました。はー 感情が忙しい映画でありました・・・

 

スポンサーリンク


 

だがしかし!「新感染 ファイナル・エクスプレス」ってなんてダサい邦題なんでしょう!原題のままの「釜山行き(부산행)」で良かったよね・・・ 日本に新幹線があるからって変にうまいことダジャレ使いました~みたいな邦題になってしまって残念ですね。

でも、映画はラストまでちゃんと見てほんと良かった。泣きのツボを押してくる部分もあって涙が出たりもしたんだけど、感動的というよりはなんと良く出来た映画だろうという印象が一番強かったかな!スアンの歌のエピソードまで非常によく計算して構築された展開。

KTXの乗客として乗り合わせた人々の行動がまるで社会の縮図のようでした。お金にものを言わせようとする人、人々の不安を扇動する人、自分だけが助かろうとする人・・・ 極限の中で顕著になる人間の本性がよく描かれていましたよね・・・ 怪物なんかよりも人間の方が怖いってことなのかもしれないですね。

こういうゾンビムービーの定型を全く知らないので、サバイバル的に人がだんだん死んでいって最後に生き残るのは誰なのかという展開になるとは気づかなかったので、ラストがどうなるのかも予想がつかなかったので楽しめたところもあるのかもなあ。でも、結局死ぬのだとしても、どう生きて、どう死ぬのかで全然違うのだと思いました。誰かの記憶に残ることで、死んでも生き続けることが出来るのかもしれない。

 

そうそうNETFLIXにヨン・サンホ監督のアニメ「ソウル・ステーション・パンデミック」「フェイク 我は神なり」、映画の「サイコキネシス -念力-」も入ってるみたいなので、それも見てみようかな・・・ またちょっと怖い系かもしれないからドキドキなので見れないかもだけど!

 

新感染 ファイナル・エクスプレスが見れるのは・・・
⇒Netflix






【韓国映画】私を忘れないで の感想 それでも忘れられずに何度でも出会うのだろうか

「私を忘れないで」の視聴を終了しました。私の頭の中の消しゴムに出演したチョン・ウソンが今度は彼自身が記憶を失ってしまう側です。

胸が締め付けられるような切ない救いのないストーリーのようにも思うし、記憶を失ってもそれでもやっぱり何度も出会ってしまうというのは救いのようにも思えて複雑な気持ちになる映画であります。

原題が「나를 잊지 말아요」、邦題が「私を忘れないで」でほぼ直訳ですね。この言葉が誰が発したものなのかというのもポイントだと思うんだけど、英題だと”Remember You”になっているのが興味深い。映画の中で最後にこのセリフを言った声はソゴォンのだったと思うんだけど、英題をつけた人はどうとらえてるのかな?ソゴンとジニョンの関係がお互いに「私を忘れないで」=「あなたを忘れない」であるともいえるかもな、なんて思ったりもする。うーん。深いわ。

 

スポンサーリンク


 

この間見た映画の監視者たちではチョン・ウソンはクールな悪役を演じていてそれもめちゃ良かったんだけど、この映画のように情感たっぷりの演技もやっぱりいいですね。ストーリー運びがやや淡々としていて、チョン・ウソンとキム・ハヌルの表情がすべてというような映画だけど、それで十分成り立っていて引き込まれてしまう。

記憶を失った時の表情、そして結局またジニョンに惹かれていく時のソゴォンの表情。記憶を取り戻してしまった時の表情。そしてまた忘れてしまって無へ。

相手の存在を忘れないと生きていけないのに、記憶から消し去ってしまうことは出来なくてまるでメビウスの輪のように何度も繰り返すであろう二人の出会いと別れが切ないです。忘れればすべて過去と言っても本当に忘れてしまうことは出来ないのです。

これも愛のひとつのカタチなのでしょうか。そうだとしてもとても苦しい愛。でも幸せな愛でもあるのかしら。彼らの関係と同じように視聴者の心にも答えが出せない映画のような気がしますね。ただひたすら切ないのでした。

 

私を忘れないでが見れるのは・・・
⇒Netflix



【韓国映画】男と女 の感想 一面の真っ白な雪にも覆い隠すことのできないもの

コン・ユとチョン・ドヨン主演の「男と女」を見ました。私がびっくりするくらいハマれなかったのは、たぶん冒頭のせい。チャン・ドヨンの煙草を吸う姿がわざとらしく見えていきなりそこからあれれって感じ。極力煙を体内に入れたくないようなふかしているだけの吸い方に見えて違和感。喫煙の習慣のシーンはヒロインの鬱積した気持ちを表すためだったと思うのだけど、そういう意味ではあんなに何度も小道具として使用したのは逆効果だったのではないかとまで思ってしまう。多分、チョン・ドヨンに対しての私の期待値が高すぎたせいもあって余計にそんな風に思ったのかもしれないなあ・・・

 

スポンサーリンク


 

映画って物語の中へダイブするために臨場感に浸ることが必要なんだと思うのですが、私はその冒頭でそれにいきなり失敗してしまってそのまま最後まですごく傍観者でありました。物語の淡々とした描き方も相まって美しい風景で覆い隠した絵空事を見ているような気分だったようです。

でも淡々とした映像作品が苦手だという訳ではなく、むしろ口数や動きが多すぎる方があまり好きではないので、扱っている題材とかストーリーに寄るとは思うのですけどもね。どうやらこの映画はあんまり私にはグッと来なかったな、という感じです。

男と女の違いが端的に表れたラストまでの展開はうまく描かれていると思うんですけど、切ないとか悲しいとかより虚しさを伴う諦念みたいなものに覆われてしまう。分かっていてもこんな風に突き付けられられたくない事実のようだと思ってしまうのです。

男性と女性の特性の違い、覚悟の違い、不倫の結果に起こることの違い。表面上取り繕っても人間の本質は自ら現れてくるのです。雪に覆われてもそれは隠せないのだとあのフィンランドの真っ白な大地を見て思っていたのです。

男のラストの涙がとても嫌だった。それが自分さえ我慢すればという自己犠牲のつもりでもやっぱりそれは結局自分の選択で。どう言い繕っても自らが初めて夢中になってかき回した相手を捨てて家族を選んだのに、その涙は自分のための涙のように見えて、泣いている姿なんて見たくないのだった。

サンミンの夫のパク・ピョンウンがかけてたメタルフレームの眼鏡がとても似合っていて素敵だった。ちょっと神経質だけれど、申し分のない夫。だけど・・・というサンミンの気持ちは分かる気がする。子どものこと、仕事のこと、家庭のこと。それはギホンも同じで。サンミンとギホンの二人の間にあった感情はそれが本当に愛なのかさえ分からない。辛い日常が無ければ二人が惹かれあっただろうかと考えてしまうのだった。

 

好きか嫌いかでいうとあまり好みではない映画でした。けれど、見終わった後につらつらと内容についてふと考えている気がする。人ぞれぞれ色んな状況あってのことだから不倫が悪いとかそういう一方的な視点は私にはないんだけど、それよりも結婚して家族という形式になるということが簡単に断ち切れる関係性ではないんだなという事の方を彼らというか、ギホンの選択で思ったのでした。人は気づいていないつもりでも緩やかな鎖につながれて生きているものなんですね。そんなことを改めて思ったのでした。

 

男と女が見れるのは・・・
⇒Netflix