【韓国映画】エンドレス 繰り返される悪夢 の感想 愛する人を助けられない一日の繰り返しという絶望

映画「エンドレス 繰り返される悪夢」を見ました!キム・ミョンミンが出演しているのでいつか見ようと思ってた作品。

ただいま、コロナウィルスの影響でおうち時間が多くなっている方も多いかと思いますが、私も同じく在宅時間が増えましたので、少しドラマや映画を見る時間が増えた気がします。というか、忙しくても見るんですけどもね!!!ただし、そういう時は見るには見るけど、感想までを書くところまでたどり着かなくなってしまうんであります。今のこのタイミングで何とか見た作品の感想をキャッチアップ出来ればいいなあ。

 

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さて、この映画の原題は「하루」(一日)であります。英題もA Dayです。邦題はちょっと違うけど、同じ時間を繰り返すタイムリープがメインなので、「エンドレス」というタイトルは悪く無いですね。お!いつも邦題に文句をつける私にしては珍しい!笑
ただ、実は原題の「하루」は一日を意味するだけではなく、実は・・・というダブルミーニングがあるので、そういう部分まで翻訳するのってほんと難しい。こういう事例を見ると、やっぱり色んな言語が出来るようになりたいなあと思うのでした。

この映画で描かれる、子を思う親の気持ちというのは強くも苦しい。それぞれの子どもや大切な人を守るためには他の人を犠牲にしなければ成り立たないという構図になってしまっているので、ちょっと極端ではあるんです。でも結局、やったことは因果応報で、自分に返って来てしまうものなんだなあっていうのを思い知らされる悪夢の繰り返し。どうやっても娘を助けることが出来なかったジュニョンが最後に取った行動がやっとその輪から抜け出すカギになるのでした。

自分の大切な人が死ぬ場面を何度も見せられるなんて本当に絶望。そして自分は助けることも出来ないのも絶望。あまりにもリアルなキム・ミョンミンやピョン・ヨハンの切実な演技に見ている方の胸を締め付けられるのは間違いなしであります。

ほんと、見てるとあっという間でありました。ちょっとしんどいけど、良かったです。シンプルなエンドロールとかタイトルとかそういうのがむしろ良かったな。

とはいえ、ヘッドフォンで爆音で音楽を聴きながら歩くのってあかんよねって思いました。いや、まずそれが無かったらウニョンは爆走してくる車に気づいて逃げられたのではないでしょうか、なんて身も蓋も無いことを思う私もいたんですよねえ。横断歩道を渡ってる他の人達は逃げれてたからねっていう。多分そこは突っ込んではいけないとこ~~!!!

 

エンドレス 繰り返される悪夢が見れるのは・・・


【韓国映画】娑婆訶(サバハ)の感想 不穏な空気感からそのまま映画の世界にいざなわれる

サバハをNETFLIXで見ました!色んな宗教があるけれど、その世界観というものがどこか根本でつながっているのかもしれないと思った。それは例えば、各宗教は島みたいなもののようで。本当は地底ではつながっているのに、海に沈んで見えないところはまるで境目のようで離れているように見えるもの。そんな風に感じました。

 

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バラバラに見えた事柄がだんだんと繋がっていく様は見事で収束させていく展開は非常にうまい。すごい力量で視聴者も巻き込まれてしまう。

あと、ファンタジーの出来事なのか、現実の出来事かを曖昧にする装置が差し込まれていてその部分の描写がすごくうまいと思う。閉じ込められた異形の少女、動物園とかじゃなく個人に飼われている象(CGだろうけど)、解脱して若い姿のままでいる術を手に入れた男、などその存在が現実ではありえないようで、実は私が知らないだけで実際にあるものなのかと思わされるようなそんなギリギリの境界線上のものたち。完全に架空のとは言い切れない存在がキーになって、映画の世界の中にぐっと連れて行ってくれる感覚。

イ・ジョンジェの演技はいつも通りで、大変良い具合の胡散臭さが出ていて大好物ですが、チョン・ナハンを演じたパク・チョンミンも大変良かったんですよね。口数が多い役では無く淡々と任務をこなしているのですが、感情を抑えた演技の中で見られる驚愕の表情などが非常にポイントになっていて惹きつけられます。一理ある愛のヒテの弟のギテ役の時はとにかくなんじゃこの人っていう感じの役だったので(いやあれは演技がうまいからこそ本気で私があんな人嫌だって思った可能性もあるな・・・)、この映画では「わーこんな役もできるんだ!」という発見で嬉しかったです。彼が一番印象的でしたね・・・

宗教というものを考える時に思うことは、その人が信じる教義を実行することは自身にとっては正義だけど、他の人にとっては圧倒的にそうではないことがあるのだということ。宗教のせいで起こる対立ではそれがわかりやすく可視化されやすいけど、他のことでとでもきっとそう。誰にとっても絶対的という正義は無いのだ、ということを頭の中に置いておかないといけないなと思ったのでした。誰かにとっての聖戦は、誰かにとってはただの殺戮になりうる。

最終的にいろんな出来事が繋がってひとまず解決したように思えるのに、余計に答えが見つからない気持ちになる映画でした。そこがまた狙いなのだろうけれど。

それにしてもとても興味深かったな。冒頭から醸し出される不穏感で高まる緊張の糸を切らさずに一気にラストまで見せるパワーのある映画でした!チャン・ジェヒョン監督の前作、プリースト 悪魔を葬る者も見てみたくなりました。こっちも牧師さんがでてくるのかー!やはり同じテーマを形を変えて探究し続けることで見えるものがあるんだろうな。画家なんかもそうですよね。

 

娑婆訶(サバハ)が見れるのは・・・
⇒Netflix

【韓国映画】愛のタリオ の感想 あまりにも愛と憎しみが表裏一体だった

映画の「愛のタリオ」を見ました。イ・ソムが出ているので見ようと思ったのですが、俳優さんよりもストーリーが迫ってくる感じでした。あまりにも、愛と憎しみが表裏一体で苦しくなりそうなぐらいだった。

 

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本当にただ少しすれ違っただけなのに、あっという間に惹かれて、そしてその後は簡単に別れてしまうしかない関係のように見える気もするのに、そうでなかったならもしかしたら運命だったのかもしれない。子どもまで身ごもっているのにもういらないとたやすく女の手を離して捨ててしまうことが出来る男。本当は幼いのは女の方ではなくて男の方なのだ。与えられたものを今度はまた自分の身に受けて、繰り返す傷のつけあい。結局最後まで離れられないのなら、それもひとつの愛のカタチなのかもしれない。どこか似たもの同士の愛は他人がとやかく言うことが出来るような気がしないのだった。

怒りは感情の第二段階で、本当は第一段階の感情があるっていうことを思い出した。怒りという感情の手前にある悲しみというものが復讐に向かわせるのだ。相手を完膚なきまでに叩きのめしたいと思いながら、それはまるで自傷行為にも似ている気がしてしまう。傷つけたいのは自分なのか相手なのか・・・ 境目の曖昧さがこの映画では良く描かれていて、最後も傷を与え合ってそれでも寄り添うことを選んでしまう二人を見て愛というものの複雑さを感じるようなそんな感覚。

チョン・ウソンとイ・ソムの二人の演技もよかったです。成熟しているのに幼い、幼いのに成熟しているみたいな危うい二面性がアンバランスで見ててしんどいんだけと、とても人間だった。

ただ、色々すっ飛ばしたような部分も多くて、娘のチョンが一体どうやって日本人の会長をそこまで味方にしたのかと思っちゃうんだけどね。修羅場をくぐってきたような凄みを感じる女になって帰ってきたら説得力もあったんだけど、そこはイマイチ。詳細な状況とか知りたいわけではないけど、もう少しほんとっぽく見えたら良かった。

この映画のストーリーは韓国の民話の沈清伝(シムチョンジョン)を元にしているらしいので、シム・ハッキュ、シム・チョン、ペン・ドクという名前はそこからきているみたい。その話のままというよりモチーフにしているというイメージのよう。そう考えると本当は三人がメインだったのかな。見ている時はそうは感じなくて、あくまでも二人のストーリーとして私は見ちゃったので、娘の存在感は私にとっては薄めだったかも。

すごくという訳ではないけどわりと良かったです。少し苦い余韻。

 

愛のタリオが見れるのは・・・
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【韓国映画】人狼 の感想 日本のアニメ『人狼 JIN-ROH』の実写版映画

韓国映画の「人狼」を見ました!これは押井守原作・脚本のアニメ人狼 JIN-ROH』を原作として舞台を朝鮮半島に変更して作られた映画だそうです。日本の映画やドラマに疎く、アニメにも明るく無い私ですが、さすがに押井守の名前くらいは知っています。この作品を実写化するというのはきっと韓国にも彼の作品を見て影響を受けた人がいるんだろうなー!キム・ジウン監督もその一人なのかしら。

 

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アニメ版でもきっとこだわって形作られたであろう特機隊のスーツや上からの角度で撮られた構図など、様式美が感じられて実写版を製作するにあたってかなり心を配ったんだろうなと思われる部分が多々ありました。そのおかげか独特の空気感がとてもカッコ良かったです。地下道のほの暗さとか街の雰囲気の暗さとかそういう照明の使い方も好みでした。

ハン・ヒョジュの演じたイ・ユニもちょっとミステリアスな雰囲気もありつつ良かったかな。セクトの構成員なんだけど、公安に利用されるユニの心が暗闇に灯る蝋燭の炎のように揺れるの様子に見ている方も緊張してしまった。

ジュンギョンと二人で赤ずきんの話をするシーンが特に好きでした。「赤ずきん」が表すいわゆる左翼組織と「狼」が表す体制側の対立を表してるってことでいいんでしょうか?そこから特機隊の名称の「人狼」が生まれたんだよね?

映画という短い尺なので仕方ないのだけど、もっと複雑な入り組んだ話だと思うのに、敵がキム・ムヨルが演じるハン・サンウ一人に集約されている感があったのはもったいないような気がしてしまったかな。彼の特機隊への敵視とかも分かるような分からないような感じだったので、もう少し彼の身上の描写があったら良かった気がする。あとはキム・ムヨルは嫌いではないのだけど、どうしても敵としては小物感があるんだなー まあこれは私の勝手な意見ですが・・・

あとはイム・ジュンギョンを演じたカン・ドンウォンもチャン・ジンテを演じたチョン・ウソンもカッコよくて素敵だったです。カン・ドンウォンは任務を全うするんだけどどこか繊細でそこに徹することが出来ない人っての似合うねえ。基本的にちょっと切なそうな顔なんだな。そこがいいんだけど。

ちょっと残念だなと思うのは、ジュンギョンとジンテが闘うシーンで、二人ともパワードスーツを着てるんだけど顔の部分だけ外してたところですよね。両方着てたらどっちがどっちか分からなくなるからという視覚上の問題でだろうとは思うけれど、そうしてしまうと突然ここでそのパワードスーツを着ることについての定義が意味をなさなくなってしまうのでは?なんて思うよね。ちゃんと頭部も装着して闘って最後に外してどっちか分かるってのが良かったんじゃないだろうか、なんて。

まあでも気になったのはそのくらいかな。ちょっと内容的にもマニアックな気がするので、万人受けするストーリーでは無いような気がするんですが、細部までこだわって作ったんだろうなと分かる作品が好みなので、私は結構楽しめました。原作のアニメを見ていなくても大丈夫でしたよ~!

 

人狼が見れるのは・・・
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【韓国映画】アシュラ の感想 こんな街には絶対に住みたくないよー!

映画のアシュラ見ましたよー 韓国ノワール映画と分かって見たもののはるかに想像を超える強烈さでありましたなあ・・・

Asura:The City of Madnessという英題がすごくピッタリな感じで、本来正義の味方であるべき警察や検事、そして市長まで悪人しかいなくってまさに狂気の街なんですよね。血を血で洗う地獄絵図なので「うわあ・・・」と思う事間違いなしです。香港ノワールはもう少し人同士の繋がりの義の部分に重きをおいて、その中での意外な裏切りを描くイメージだけど、韓国ノワールはまた一味違うんだなーとは思いました。

 

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チョン・ウソンが演じるハン・ドギョンはやることやることが裏目に出る感じで、どんどん深みにはまって行く警察官。チュ・ジフン演じる後輩警察官のソンモをパク・ソンべ市長の下に送り込んだけど、そんなことをしたら最終的に先輩と後輩のの関係がそうなってしまうって分かってたよね・・・なんて思ってしまった。この部分だけは空しく切なかったなあ。

それにしても、やっぱりこの映画で一番凄かったのはファン・ジョンミンが演じるパク・ソンべでした。気の狂いっぷりが突き抜けててここまで来ると見ててちょっと爽快感を感じてしまうぐらいです。水をこぼした後に乾かすためにズボンやパンツを抜いて下半身丸出しでドギョンと話してるシーンとか怖くて震える。撃ち合いして血が流れてるようなシーンよりも話をしている方が狂気がにじみ出ててゾっとする感じなんですよ・・・

ファン・ジョンミンを初めて見たのはアクシデント・カップルのドンペクという純粋な郵便局員役だったので、この映画の市長役とは180度違う役柄なんですけど、それぞれの演技で役の人になり切っているので全く違和感なく作品の世界にいざなってくれるなあって感心します。マジ凄い。

ハン・ドギョンが同僚を屋上から突き落として殺してしまったシーンからもう嫌な予感しかしない始まりで、その後の彼らのあがきは不毛だなあという虚しさも感じるけれど、やれるだけやり尽くした血まみれな死闘が繰り広げられて迎えたラストはまあ納得感もあってどこかスッキリした気分にもなったような気もする・・・ うーん。どうだろう。まあでもこんな街には絶対に住みたくないね!マジで!

 

アシュラが見れるのは・・・