あっという間に一年が終わってしまいますね。皆様良いお年を!
そして、私の2018年ラストの感想はこれ。香港映画の「強奪のトライアングル」です。リンゴ・ラム監督の訃報を聞いて、追悼の気持ちで監督の作品でまだ見ていない映画を見てみました。この映画は実験的な作品で、3監督が30分ずつ撮影をしたものをリレー形式でつなぎ合わせているらしいんです。ツイ・ハーク、リンゴ・ラム、ジョニー・トーと香港の巨匠ばかりですからね。これは期待しかないですよね。
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結論から言うと、私は結構好き!!! 撮影した監督って誰からどういう順番なんだろう?って思ったけど、本当にそのままツイ・ハーク、リンゴ・ラム、ジョニー・トーの順なんだなって分かりやす~い。それぞれの癖が如実に出ていてなんかもうニヤニヤしながら見てしまいましたよ。あの始まり方と話の広がり具合はツイ・ハークで心理戦みたいなところがリンゴ・ラムだし、最後の銃撃戦とコントみたいなノリは完全にジョニー・トーだし。もうラム・シューが出てきた辺りで最高潮にノリノリで見てしまったな~
もちろん整合性が取れない感じの部分はあるんで、そこが気にならなかったら楽しめるんじゃないですかね?好みが分かれそうな映画ではありますが。
でも、こういう実験的な手法を許す製作環境もそうだし、それをやってみようってなる監督さんも役者さんもすごい懐がでかいなあと思うんですよね。結局やってみてイマイチってなったとしても(私は面白かったけど)どうせ面白くないだろうとやらないよりも実際にやってみる方がずっといいと思うんですよねー。うん。私はそう思うなあ。
監督も三人、主役も三人っていうのも面白いなあ。三人寄れば文殊の知恵じゃないけど、化学反応を起こしそしてまとまるのに一番いい人数のような気がする。
それにしても、ルイス・クー、サイモン・ヤム、スン・ホンレイの主役三人が最高でしてね・・・ いい味出てるんですよねえ。ほんとに。
ルイス・クーはホワイト・バレット、天上の剣と最近立て続けに見てるけど、ピシっとしたお堅い役がすごくはまっていたので、こういう崩れた感じの役が出来ると思っていなかったんですよね。本作では歩き方からダラっとしてて、役によって体の動きまで変えるタイプの私も好きな役者さんだと実感しました。出演作をもっと見てみよう。
サイモン・ヤムもすごい。悪役のイメージが強いんだけど、しがないサラリーマンみたいな役も完璧。器用だなあと改めて思った。彼が出演しているだけで安心感がありますねえ。
スン・ホンレイも独特の雰囲気が最高に好き。セブンソードと花の生涯〜梅蘭芳〜辺りで見たけど、印象に残って忘れられないタイプ。
その三人の誰が出過ぎる訳でもなく、印象に残り過ぎる訳でもないっていう、そこが一番すごいと思ったところ。バランスがとても良くて美しい三角形なのです。感心する。
最初の導入はどうなっちゃうの?と思わせて、最後にちゃんと綺麗におさまった感じでとても面白い映画でした。監督リレーの順番も本人たちでお互いにこの順番がいいんじゃないって決めたんじゃないかなって思うとそういうところも面白いな。そんな風に色々な部分でニヤニヤしながら楽しめる映画でした。見る前に監督がリレー形式の映画だっていう予備知識はあったほうがいいかなとは思いますけども!