「インファナル・アフェア 無間序曲」はインファナル・アフェアシリーズの第2作目。1作目から11年遡った香港が舞台で、若い頃のラウとヤンはアンディ・ラウとトニー・レオンではなく、エディソン・チャンとショーン・ユーが演じています。
いやー この映画もずいぶんと前に見ていたんですけど、2と3を続けて見てしまったせいで自分の中でそれぞれの作品の感想を分けることが出来なくなっちゃいまして。舞台となっている時代はずいぶんと違うんですけどね。なんとなく。
それで、もう一回見てから感想を書くことにしました。なのでゆるっと2回目の視聴をいたしました。
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ストーリーに関しては1作目の世界観が持続しているし、香港返還の頃が描かれていて興味深いのですが、キャスティングがちょっとだけ気になるのでした。
ヤンのショーン・ユー→トニー・レオンの流れはわりと良い感じと思う。
しかし、ラウのエディソン・チャン→アンディ・ラウは正直なところ、あんまりしっくりこないかな。ラウのイメージにエディソン・チャンがなんだかちょっと重ならない気分です。皆さんはどうなんでしょう?
まあ、今回はどちらかというとアンソニー・ウォンのウォン警部と、エリック・ツァンのサムに焦点が当たっているストーリーなので、ラウとヤンはそこまで気にはならないともいえるけど。
この二人のやり取りが見どころです。ウォン警部がサムをボスに据えようとするのは、最善ではなくても少しでもマシな状況にしようとしてなのだけど、結局、ボスが入れ替わっても同じことが起こるという皮肉。繰り返される悲劇。
味のあるおじさん俳優パラダイスですな・・・
誰もかれもはまってしまった蟻地獄から抜け出せず。ヤンもまた任務に終わりはなく、結局警官に戻ることは出来ないまま出口もなく。
彼らの姿を見ていると、苦しいのか悲しいのか空しいのかなんとも形容のしがたいやるせなさが募りますね。そして考えてみたら全作品の11年前の物語だったということはそれだけの期間、彼らがその地獄にいたという事ですから、そう考えると映画に出てこなかった部分まで想像してしまって尚更辛い気持ちになるという感じ。おお・・・
さて、その他の登場人物も香港映画で見慣れた方ばかりで大変安心感があります。
ルク警視役のフー・ジュンの演技も印象的です。今作ではまさかの展開に涙ですよ・・・ 最近は彼はレッド・クリフとかにも出てすっかり有名になったけれど、私にとって彼は「藍宇 〜情熱の嵐〜」のチェン・ハントンなんだよなあ。あの映画も時間が経っても色濃く印象に残っている映画であります。
ハウ役で出演のン・ジャンユーは大好きな俳優さんの一人。癖のある悪人役を演じてるのが一番好きなので、今回のハウ役は私には物足りないかなあ。半分インテリの黒社会のボスって感じかな。でも、彼が出てるだけでいいんですよ。ほんとそんな存在。
マリー役のカリーナ・ラウのとても良かったです。ラウにとっての「マリー」という名前にそんな前日譚があったとは・・・という感じですね。このエピソードはうまく考えられてるなあ。
このアンドリュー・ラウとアラン・マックの作品には限らないかもしれないけど、裏社会を舞台にした香港映画の魅力は、非常にウェットなのに、突然のドライさの描写なのかなと思ったのでした。それともウェット過ぎるがゆえにそれを断ち切るために極端なドライさが出現するのかな、などとラウやサムの選択に思うのでありました。