聊斎志異の3作品目、公孫九娘を視聴終了しました。今回は幽霊のお話。ラストに出てくる漢詩が美しくとても印象的でした。
李商隠 「無題」
相見時難別亦難 東風無力百花残
春蚕到死絲方盡 蝋炬成灰涙始乾
暁鏡但愁雲鬢改 夜吟應覚月光寒
蓬山此去無多路 青鳥殷勤為探看
実際にドラマに出てきたのはこの漢詩の前半部分だけかな?出てきた字幕によるとこんな感じ。
相い見る時は難く別るるも亦た難し、東風力無く百花残る
春蚕死に到りて糸方めて尽き、蝋炬灰と成りて 涙始めて乾く
ラストに愛する人を忘れられずに年老いていくそれぞれ一方通行の二人の姿とともにこの漢詩が流れて切ないのです。
スポンサーリンク
このシリーズってなんだか主要な登場人物は大陸の役者さんじゃなくて、台湾とか香港の俳優さんが多いような気がする。この作品もそうですねー
李懐生役は、孫協志(トニー・スン)で、台湾の5566というアイドル出身の俳優さんだそう。公孫九娘の婚約者で、科挙に合格したので結婚をするために村に戻ってくるのだけど、その時にはもう公孫九娘は殺されて死んでしまっているのでした。
公孫九娘役は康華(アキナ・ホン)で、香港の女優さん。彼女が幽霊。胡嘯天に一家を惨殺されて、彼女も死んだんだけど、転生を拒んで胡嘯天に復讐をしようとしているんですね。
胡嘯天に一家皆殺しにされた公孫家は、威遠鏢局を営んでいます。鏢局は六指琴魔で出て来たので知ってる!清代の運送業と警備業と保険業を兼ねた商売のことを指すようです。九娘が配達に行って留守にしている間に一家がやられてしまい、彼女はその復讐のために胡嘯天のところに乗り込むのですが、結局、自分もやられてしまうという流れから彼女は幽霊になってしまうのでした。
胡采霊役(胡嘯天の娘)は、頼薇如(ドリス・ライ)。彼女は台湾の7Flowersというグループのメンバーだそう。確かにくりっとした目がアイドルっぽい。彼女は離れて住んでいたので、父の胡嘯天の悪事は知らなくて、李懐生を好きになってしまう。でも彼にとっては仇の娘なのですね・・・
結局、李懐生は幽霊だとしても公孫九娘を愛し続け、彼女の復讐をするために胡采霊と婚礼をするという嘘をついてまで、胡家に幽霊が入れるようにするのですよ。仇の娘である胡采霊を愛せないことは仕方ないけれど、それにしても自分に対する好意を利用するなんてひどい仕打ちだな・・・と思ってしまう。李懐生と結婚出来ると有頂天になる胡采霊の姿は見ているこちらも悲しい。萍踪侠影でも仇の家族は子孫もすべて殺して血縁を絶つみたいな感じだったから、実際に罪を犯していない子どもにも罪があるという感覚の思想が昔はあったのだろうか?だから胡采霊にそんなにひどいことをしても構わないという感じだったのかな・・・
そんなこんなでいくら李懐生が公孫九娘を幽霊になっても一途に愛しているという純愛部分にはまるで心が動かないのであった。自分がひどいことをされたからと言って自分が他人にひどいことをしてよい理由にはならない気がしてねー
その上、ラストの道士の凌陽子と胡嘯天のやっつけ方はそんなのあり!?って感じで、胡家に乗り込む必要なんてなくって、じゃあ早くその方法でやっつければ良かったやんてズッコケます。
とりあえず、ここで出てくる幽霊はなぜか傘を差してるっていうのがちょっと面白かったのと、胡采霊が気の毒!でもラストで出てくる漢詩は素敵だったってなところでしょうか。私はあんまり好みでないストーリーだったなあ。