交渉人の視聴を完了しました。邦題は「交渉人」ですが、韓国語のタイトルを直訳すると「笛を吹く人(피리부는 사나이)」とのことでこの視点の違いは面白いなあと思います。製作側が何を意図して作ったのかと日本人向けに誰を主役として販促をしようとしているかの視点の違いが如実に出ている気がします。製作者側は交渉人という仕事を前面に置きたい訳ではなくて、扇動者そして扇動者がその行動に至ることになった理由に思いを馳せて欲しいと思ったのではないかと思うのですが、日本人向けにはやっぱりシン・ハギュンが主役として宣伝をすることで視聴者を獲得したいってことなんだろうなあ。ふむふむ。面白い~!
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といった感じで、このドラマには主軸には伝えたいことがしっかりあった気がします。「自分と関係ないと思われることでも当事者と同じような気持ちになって考えることをしてみて下さい」ってそんな思いを受け取った気がする。
とはいうものの当事者意識というのは素晴らしいものようで諸刃の刃という側面もあるので注意が必要なもの。だからあくまでも被害者の心に寄りそうという優しい気持ちを持っていないと都合よく誰かを糾弾するための免罪符にしてしまう可能性がある。
それこそ炎上騒ぎなんてものは関係の無い人が自分勝手に当事者意識を盾にしてまるで自分が被害を受けたかのように相手を攻撃をすることが正しいと思い込むことから起こっているように思えます。そうなるともうそれは当事者意識というものではなく、ただの自分がやっていることを正当化するための口実になってしまう。
だから当事者意識というものは自分の都合の良いように解釈をして振りかざしていいものではないし、実際に理解することなんて難しいし不可能なのだけど、それでも少しその人の気持ちを慮って思いやりを持って世界を見てみようってことなのかなって。確かにそれが出来ればもっと優しい世界になるのかもしれない。
なんてことを徒然に考えて、なんだか難しい問題提起をされているような気分になるドラマだったのだけど、実際に渦中の人になったとしたら自分がどう行動するかは状況によっても変わるし、ただ一つの正解がないので考え続けることが必要ということを教えてくれたのかなという気もする。例えば5人を助けるために1人を犠牲にするか、全員助からないか、なんてどっちも正解じゃなくて、どっちもベストじゃなくてでもその状況にいたら、その5人と自分の関係によって出す答えだって違うだろうし。自分の命を捨ててさえ助けたい人だってきっといるもの。だからきっと正解は無い、けど物事を考える時にその人は何を考えてそうしたんだろうと少し思いを馳せて自分の頭でも考えてみるようにしよう。そう思いました。
それにしてもこのドラマもだけど、最近は自分が手を汚すのではなく立場の弱い人を利用して犯罪を犯させたり、復讐の目的を達するという形式がストーリーでよく出てくるなあなんて。最近だとクリミナルマインドコリアとか番人もちょっとそんな感じだったな。おかげで最終的な犯人が誰なのか予想がつきづらくなって複雑な展開を描けるのかなとは思うんですが、ちょっとパターン化されてきた気もするかなあ。そんな簡単に人を思い通りに動かすことが出来るもんかな、とちょっと思ってしまう部分もあるのだなー でもプロットとしては、実行犯に行きついても最終的にはゴールじゃないところが魅力的なんだろうなあ。確かに今回は予想がつかなくて面白かったですしね。
このドラマはキャスティングは派手ではなく割と渋めだったけど、それがまた良かったのもかもしれないです。チョ・ユニも良かったし、シン・ハギョンはもちろんアンカー役のユ・ジュンサンがとても良かったですね。全然予想もつかない方向に話が進んでいって、最後の最後までなるほどなあそう来たかって感じ。面白かったな。最後に出された問題、つまりハイジャックされた飛行機の件もストーリーの趣旨をしっかりとらえたものでうまいなあって思いましたもん!
「交渉人」という存在について全く知らなかったし、ストーリーも引き込まれて面白かったし、考えさせられつつ興味深く見れたドラマでした!この感想を書きながらまた色々考えてしまうのでした。