【香港映画】狂獣 欲望の海域 の感想 ショーン・ユーの江貴成役がすごかった!

マックス・チャン見たさに「狂獣 欲望の海域」を見ました~!海洋域でのアクションという事で、想像していた鮮やかなアクションって感じじゃなかったんですけど、色々と興味深い映画だったんですよね。

まずは、マックス・チャンの金髪ってレアな感じですよね。普通の人側でも悪役でも端正なイメージの彼なんですが、この映画では粗暴な刑事役。荒々しい感じが目新しい感覚でありました。

そして、ショーン・ユーがすんごい迫力だったんですよね。こんな狂気的な江貴成役を生々しく演じられるなんてビックリしました・・・ 本当にショーン・ユー!?みたいな気分になりました。徹底的に狂った悪役でマジで最高でしたな。もちろん彼の生い立ちなども丁寧に描かれていたので彼がそうなってしまう過程も理解できるし、同情するんですけど、それでもヤバいっていうかイッてるというか容赦ないというか。もうすっかりマックス・チャンよりも彼に目が釘付けでした。

その江貴成が、蛋民という水上生活者なんです。アジアの各国で水上生活者がいることはなんとなく知っているけれど、リアルに接したことがある訳でもなく、机上の知識しかないので、映画の中ではあるけれど、視覚的に見ることでその存在を改めて認識したというか、そんな感じ。この映画は2017年公開だけど、香港には今も蛋民の方がいるのかなあ?

そして江貴成が祀っていたのが媽祖でしたね。媽祖って航海や漁業の守護神で道教の女神なんですね。海の守護神って知らなかったな・・・ 横浜中華街でも媽祖廟があったけど、海が近いからかな。でも大久保にも媽祖廟があるなあなんて考えてました。まあもう少し信心の幅が広いのかもしれない。まあともかく、頭の中で点と点だったものが線になったような感覚を覚えたんですねー そういうのって面白いなあ。

市場での追っかけっこシーンなんかは追う方も追われる方もどっちも常軌を逸した感じの狂犬ぷりっていうのか執念っぷりで、はわ~って感じだったんですけど、いかんせん海の中で闘ってるシーンってのは画的にはあんまり映えないですよね・・・ すんごい大変な思いをして撮影しているだろうことが伝わってくるだけに余計に見ててしんどい気分になってしまうというか。心理的にも海の中のシーンって自分の息まで苦しいような感覚に陥ってしまうのかもしれません。それもあったのかな。どっちも強いんで、決着がなかなかつかないんでね。もちろんそれが良い部分でもあるんだけど、この映画ではちょっとお腹いっぱい・・・と思ってしまいました。

阿徳役のウー・ユエもよく見る顔ですね。最近では葉問4のワン・ゾンホア役が記憶に新しい。あの太極拳は大変美しかったなあ~~ 今回の役は金に目がくらんでしまう役なんですけどね、でもどこか人の良さが滲み出てしまう雰囲気のある役者さんだと思うんので、悪になり切れない阿徳役も合ってたな。

アクション映画にも色々あると思うんですが、この映画は見たらすっきりするという系ではありませんでしたね。完全なる悪も完全なる善も存在しないような感覚になる。だからといって後味が悪いということでもないのだけど、彼らにとってどう生きるのが正しかったというのだろう?なんて考えてしまうような、そんな気分の視聴後でした。

 

狂獣 欲望の海域が見れるのは・・・



【中国映画】ワンス・アポン・ア・タイム 闘神 の感想 三世三生十里桃花の映画版!

「ワンス・アポン・ア・タイム 闘神」という邦題からだと全然分からないけど、三世三生十里桃花の映画化作品なんですよね、こちら。同じ原作を元に制作されたドラマが大変良かったですから映画もどうしても期待しちゃいますよね。それにヤンヤンが主演だし絶対に見なきゃとは思ってたんですよね。ヒロインもリウ・イーフェイだし、なかなか力を入れて制作されたのが伝わってきます。

まあしかし、原作の小説が壮大な物語なので、やっぱり映画の短い尺ですべてを見せるのは難しいですよね。私はドラマを視聴済みなので、話の大筋が分かって見ているから良いものの、事前の知識なしに見たらなんのことやら分からなそうな部分があったように思います。素素と白浅は同人物だけど、人間と仙人という違いがあるから二役みたいなもんだし、ややこしいよね。うーん。そういう意味では仕方ないとはいえ、色々詰め込んだストーリーになってしまってはいますな~

映画版の良かったところは、色鮮やかでディズニーっぽいファンタジー仕立てだったところかな。背景なども美しいし、戦闘シーンとかもとにかく見栄えがいい感じ。ゲームっぽい世界観かな。そういう華麗さを求めている人は楽しめると思う。もちろん主役の二人も美しく、凝った豪華な衣装がとても似合うし、眼福って感じ。一番カラフルなのは折顔役のルオ・ジンですけどね。孔雀みたいで凄かった。ドラマの折顔とは全然違うのでなかなかイメージが繋がらない!

映画とドラマの違いはそういう映像的な部分もだけど、一番の違いはラストですね。ドラマでは夜華と墨淵は兄弟という結論でほ~そうだったんだ!って感じだったけど、映画では夜華と墨淵は同一人物(だと思う)描き方をされているんですよね。確かにその方が実はストーリー的には収まりが良い気もするので、これはこれで良いのかなと。どちらがより原作に近いのかは気になる!

ドラマと映画のどちらがより良いと思うかはもうこれは好みなのかなと思うのですが、私に関して言えば、やはりマーク・チャオの夜華の素敵さというのはもう最上級の好きの部類に入るので、どうしようもないですね。あの黒いシックな着物を優雅に着こなす姿があまりにも好きでしてね・・・ ヤンヤンも予想以上にハマってて思ったより良かったんですけども!でもドラマ版の方が長い間登場人物に接してるというのもあるし、あのシックな落ち着いた色合いの方が好みだったっていうのあるので思い入れが強いのね~ そんなことを言ってはいますが、映画も興味深く見て、思いのほか楽しめたって感じです!

 

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【香港映画】ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地大乱 の感想 ジェット・リー×ドニー・イエンが最高!

昨日、ワンチャイ外伝の感想を書いたので、続けてワンチャイ2作目の感想も書いちゃおうと思いますよ。アイアンモンキーは初見だったんだけど、この作品は2回目いやもっと見てるかもしれないな。最近、難しいことは何も考えたくない~みたいな気分になった時があって、慣れ親しんだこの映画を流し見したのであった。

確か、スウォーズマンでジェット・リーの武術に魅せられて、他の出演作を探してこのワンチャイシリーズを見たんじゃなかったかなあ。そしてこの天地大乱でドニー様にも魅せられたような気がする。いや、ドニー様はドラゴン・インでだったかもしれないなあ。まあどちらが先からは分かんないけど、まあそんな感じで、そこら辺からカンフーものがすごく好きになって行ったんだと思うんですね。

ところで、私はこのシリーズは3作目までしか見たこと無かったんだけど、6作目まであるらしい!知らなかった~ 外伝も知らなかったくらいだしな・・・まあ私の知識なんてそんなもんである。4・5作目はチウ・マンチェクが主役、6作目はまたまたジェット・リーらしいので、機会があれば6作目から見ようかな!

改めて見て思ったけど、この頃のジェット・リーの動きのキレって本当に半端ないですね・・・ いやもうほんとうっとりしてしまう。なので別のことをしながら見てたんだけど、思わず手が止まってしまうっていうね。そんな感じ。その上、ドニー様も出演してますので、二人の戦いが堪らないんですよ。なので、3作目までの中で今作が一番好き。あのドニー様の布芸っていうの?長い布を使った技が素晴らしくてね・・・ あの破壊力凄いよね。

そして、私が何気に好きなのが、黄飛鴻と十三姨のロマンスも絡めてあるストーリーなこと。この頃のジェット・リーって若くてなんだか笑顔がとても可愛らしいんですよね・・・ その彼が照れた笑顔を見せるところとかとても好きで、お相手役のロザムンド・クワンも文句なしに美しくて、いいんですよ。しかし、笑うと可愛いのに戦うとめちゃめちゃ強いっていうギャップね。多分それがジェット・リーの最大の魅力ですよね。あ~いい!

時代背景的に、ちょうど西洋の文化が入って来て、武術では鉄砲に叶わないという現実も描かれていて、少し苦い後味も含みつつ、それでもどう生きていくかという葛藤はいつの時代も変わらないのかもしれないなんて思ったりもしました。新しい技術はどんどん進化していく訳ですもんね。

いやはや、この頃の映画を久々に続けて見たけれど、やっぱりいいものはいいなと改めて思いましたね。同じ作品を何度も見るタイプじゃないんだけど、それでもたまにはそういうことをするのもいいなって思いましたよ。

 

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【中国映画】ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ外伝 アイアン・モンキー の感想 アクションが最高!

それにしてもタイトルが長いよね「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ外伝 アイアン・モンキー」って。ほんとはアイアンモンキーだけでもいいと言えばいいけど、ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナの流れで視聴者を引っ張ってきたいという気持ちは分かるのですけどね。

この映画は、ドニー・イエンが主役っぽいように見せかけてあるけど、実際は鉄猿役のユー・ロングァンがメインですね。そのヤン=鉄猿はユー・ロングァンで、ドニーさんはウォン・フェイホンの父親のウォン・ケイイン役という設定。で、ウォン・フェイホン役はツァン・シーマンという子役ちゃんなんだけど、これが実は演じてるのは女の子らしいんですね。彼女の動きも大変美しいので、ここの見どころのひとつ。もちろん、ドニー・イエン&ユー・ロングァンのコンビネーションも大変美しくて大満足すること間違いなしです。

ドニーさんの出演作は色々見てきて、どれも好きだけど、この映画を見ながら「こ、これはいい!」って昂った気持ちになったので、これはかなり上位かもしれないなあ。最近、どうしてもイップマンで詠春拳を操るドニーさんやアクションを見ていたせいか、少林拳使いのドニーさんを見ると新鮮でとても楽しかったな~ 改めて、武術の使い分けが出来る彼のことを凄いと思ったしね。武術家であるのはもちろんだけど、やっぱり彼は役者としてのスキルが非常に高いんだなあと思ったのでした。

ユー・ロングァンもいくつかの映画で見たことはあるけど、顔と名前がそこまで一致したことが無くて、見たことある人という程度の感覚だったんだけど、改めて動きが美しくて感心してしまった!出演してた映画でなんとなく覚えてるのは、スウォーズマン 女神復活の章とかかな。よし、今回でしっかり覚えたぞ~ イケメンという感じではないんだけど、色気というか余裕のあるいい男感があって素敵なんだな。

ちなみにこの映画は、ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナのサイドストーリー的なタイトルにはなっているけど、この1本だけで楽しめる内容。鉄猿という義賊とウォン・フェイホン親子が出会って、色々起こるんだけど、最終的には力を合わせて悪者を倒すというすっきり爽快な分かりやすいストーリー展開です。単純明快なのいいよね。

やっぱり見どころはラストの棒の上での戦いかな。武術ものってどうしてこう足場の悪いところで戦うの好きなんだろうね?円卓の上とかさ。でもあれって身体の軸がしっかりしていないと立つことさえ不可能だから、そこがまず武術の基本として重要な要素だからこその演出だよなあとその辺も堪能すると面白いですね。

そうそう、無影脚や傘を使った技もちゃんと出てくるけど、今回は父親役のドニーさんが駆使してくれます。そうやって息子のフェイホンに受け継がれていったよ~という体なんだろうな!

いやーこの頃の香港映画ってほんと最高ですね。そしてこの映画はアクションも最高なので、とても見てて楽しかったです。とても好きだったー

 

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【中国映画】春光水暖 の感想 変わりゆく時代の狭間、それでも河は流れ続ける

映画の「春光水暖」を見てまいりました。このチラシの謳い文句でかなり期待を煽られておりましたが、それ以上の素晴らしさ。今まさに変貌を遂げようとする富陽の姿が画面に移し撮られていて、ドキュメンタリー的な要素もあり、映画としてのストーリーもありと、たくさんの側面を持っているこの映画を完成させたグー・シャオガン監督の力量に感嘆、という感じ。

この「春光水暖」というタイトルはオフィシャルHPによると、

本作のタイトルである春江水暖という言葉は、宋代きっての文豪で、書家・画家としても優れ、音楽にも通じていた詩人・蘇東坡<そとうば>が、 こよなく愛した富春江の風景をうたった代表的な詩「恵崇春江晩景<えすうのしゅんこうばんけい>」の一節からとられている。

竹外桃花三両枝 春江水暖鴨先知 ロウ蒿満地蘆芽短 正是河豚欲上時

日本語) 竹外の桃花 三両の枝 春江 水暖かなるは 鴨先ず知る ロウ蒿 地に満ち 蘆芽短し 正に是 河豚上らんと欲するの時

意味)竹林の外で桃の花が二枝三枝と開く。春に川の水が暖かくなってきたのを最初に知るのは鴨だ。シロヨモギが岸辺に咲き乱れ、アシが短く芽吹いている。今はちょうどフグが川を遡る時期だ。

そんな風に富春江の美しさを讃えた詩からから来ているのだけど、昔もきっとこの河の流れは美しく、それは今も変わらないのだと思った。劇中に出てくる大家族の長男の娘の恋人ジャン先生が、留学したのにどうして戻ったの?という問いに対して、ここで産まれた人間は富春江に戻って来てしまうんだというようなセリフがあって、これはもしかしたら、こうして故郷に帰って来てこの映画を撮影している監督自身の思いなのかもしれないと思ったのでした。そんな風にこの街の人々とは切っても切れない存在の大河。結婚の誓いのシーンでも「富春江に一礼」という部分もあり、それもこの町ならではなのだろうな。

沢山の方がきっと富春江を映すロングショットがまさに山水画のようで素晴らしいと言っていると思うので(もちろんそれは想像を絶するほどの美しさで息も出来ずに見つめていたけれど)、他のシーンで私が心を奪われた部分を二つほど。

実ははじめの数分で心をぐっと掴まれたのですが、それが祖母の誕生日祝いの場面。だんだんと人が集まって来て、それぞれが各テーブルでざわざわと各々が話しているシーン。その時のカメラの焦点が移り変わる感じと、祖母を中心に挨拶する人の声を少し大きめにしてあるんだけど、もちろん他のテーブルの声も聞こえてくるというバランス。まるでその場にいるみたいな臨場感で不思議な気持ちになってしまう程。全体を映しているようなのに、人にちゃんと焦点があっているというか。富春江を映す場面でも同じで、自然を撮っているように見えて、本当はそこに暮らす人々を映しているのだと感じさせられたのでした。

そして、もう一つは、次男夫婦の奥さんの誕生日プレゼントにと次男が市場でマフラーを買う場面。選んだ赤いマフラーを丁寧に折って奥さんに巻いてあげる姿も美しかったのだけど、そのマフラーという小道具で富春江に冬が来たことを告げるという。次のシーンは雪の積もった街の風景で、流れるようなその転換の手法にこれは凄いなと。そうやって富春江の春夏秋冬を見せてくれるのです・・・ そしてもちろん、四季の移り変わりに合わせて、この4兄弟が一人ずつクローズアップして描いていくというのも面白いですよね。緩やかに主役が変わっていくというか。

富春江のこちら側は山水画の世界がそのままでも、反対側に視線を向けて見れば、開発されてビルが立ち並んでいて、そうやって街が変わっていき、人々の意識や生活も変わっていき、それでも人々は新旧の間に折り合いをつけて、一生懸命生きていくのだなあ。だけど、そんな中で河は変わらずに流れ続けるのだった。

実際に監督の親族やら地元の方が演じているおかげなのか、この風景の中になじんでいて、この絵の中で生きているみたいなのも良かったな。もしかしたら、人によっては興味が沸かない映画なのかもしれないけれど、私みたいに好きな人にはビタっとはまる映画なのではないでしょうか!?そして3部作だそうで、エンドロール前に「一の巻、完」と出てきて驚いたのは私だけではないはず。撮影に2年かかったそうなので、次作も完成は少し先かなあ。でもこの待っている時間も楽しみだと思えるような映画だなあ。

 


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