遅ればせながら「王の男」を見ました!香港や中国映画に夢中で韓国映画をあんまり見たことが無かった時でもタイトルだけは聞いたことがあるくらい有名な映画です。ですが、デジタルリマスターされたみたいで今になってやっと見ることになりました。
イ・ジュンギの美しさにはもちろん目を奪われるんだけど、私はカム・ウソンの演技に釘付けになっちゃったんですよね。初めて見た俳優さんだったんだけど、ほんと素晴らしい俳優さんが沢山いるんだなあって改めて思ったのでした。
ストーリーも面白かったんですが、芸人集団の話というのがとても興味がありました。韓国の芸人の映画というと「風の丘を越えて/西便制」を思い出しました。あちらは伝統芸能なので、全く芸の内容が違うよ!と怒られてしまいそうですが、人々の生活に密着したものとして、それらをメインに置いて作られた作品に私は非常に興味があります。それは自国他国に関わらず見たことが無いような風景を覗けるのって面白いな。映画なので、あくまでも誰かの創作なんだけど、知的好奇心の入り口としては十分かなと思う。
ところで、この映画の中の彼等の劇はもしかしたら下世話だと感じる人もいるのじゃないかと思うんですが、この時代は、きっと娯楽といえば人々の夜の生活なんだろうな。昔の日本の村でもきっと似た感じの劇なんかもあったんじゃなかろうか。ただ、時事ネタや風刺ネタというのは日本ではどうなんだろう?昔はそういう部分もあったのかもしれないけれど、今は芸人さんは出来るだけそれには触れないようにしていると感じる。欧米などではかなりスレスレの風刺があってこその芸という文化がある気がするんですよね。お笑いとかコメディとか言ってもその国によって少しずつ違うよね。
そうそうストーリー展開で、一点だけよく分からないのが、王のコンギルへの気持ちがなんだったんだろうかということです。途中まで母への思慕の念がコンギルへ乗り移ったような描写に見えていたのに、突然のキスで混乱した感じ。それまで王の男色的なコンギルへの思いを敢えて描写しないようにしていたように見えたのに、そのシーンによって結局そうだったの?と訳が分からん気持ちになってしまったな。チャンセンは完全にコンギルが王に体を求められていると心配していたけど、そうじゃなかったからコンギルは王の孤独を見て宮廷に残ると言ったのかと思ったので、そのまま何も無かったら納得したんだけど、王は性別関係なく結局ただそういう人だったってことかな?なんだかどっちつかずな気がしてしまう。ただ私の理解が足りないだけかもしれない。でもやっぱりよく分からないや。
とかいいつつ、ストーリーはとても面白かったし、ラストも良かったし、いい映画を見たと思いました。デジタルリマスターされるくらいですしね。やっぱり時がたっても良い映画は良い映画なんだな!