台湾映画の「怪怪怪怪物!」を見たんですけど、もうこれは凄いのを見てしまった・・・という気持ちでいっぱいになりました。色んな意味での「すごい」なんですけど、一番感嘆したのはこの映画を作れてしまう監督の才能にですね。
学園ホラー?と言っていいのか分からないけど、そういうジャンルなので見る人を選ぶ作品だろうなとは思うんですけども、血とか残酷の奥にあるもっと恐ろしい物が表現されていて、非常に見ごたえがある。目を背けたくなるのは、目に見える部分ではなく、容赦なく炙り出される人間の本性の醜悪さになのですよ・・・
いやーしかし、監督のギデンズ・コーと言えば、あの頃、君を追いかけたのイメージが強いので、そんな感じだろう~なんて気持ちで見たらビックリしてえらいことになりそう。同じなのは学園物っていう事くらいなのでは?鬱屈したものを抱えている部分は似てるのかもしれない。ちなみに私は完全にこっちの方が好きです。わおー
描いている内容も非常に示唆に富んでいて興味深いんですけども、カジュアルでファンキーに人が死ぬシーンを表現していることにも震える。特に、バスでの殺戮シーン&スイカジュースのくだりは凄すぎる。あの、自分が殺される直前まで映像を撮っていた彼女の狂った精神状態とこの映画のこのシーンを作り出せてしまう精神状態がどこか似た部分があるように思えるのでした。そういう風に映画自体にどこか狂った雰囲気を纏っているんですよ・・・ そこがもうなんとも言えない凄さというか。そんな感じ。
人間の方が怪物で、怪物の方がまともに見えてくるという逆説的な部分もじわじわと効いてくるけれど、傍観者という加害者の罪、加害者と被害者という存在の曖昧さなど、提起されるものが沢山盛り込まれていて精神的にもちょっとしんどいほどに考えさせられてしまうのでした。いやほんと凄かったですな~ 今も脳裏に浮かんでくるシーンがあって、余韻も凄い。