「ウンギョ 青い蜜」の映画を視聴しましたー。Gyao!で無料配信してたんですよね。チーズ・イン・ザ・トラップ見てから結構気になっているキム・ゴウンが出てるので見てみたんですが、この映画が彼女のデビュー作なんだとか。えーっとびっくりするくらい堂々とした演技です。特別目立つ外見という気はしないのに、何とも言えない味を持っている女優さんですね・・・ この映画でも高校生的な無邪気な部分と隠し切れない色気が同居していて目が離せなくなります。
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なんだか映画は少し悲しかった。有名な詩人の70代のイ・ジョギョ、その弟子のソ・ジウ、女子高生ウンギョの3人のそれぞれへの嫉妬や思いが丁寧に紡がれるのだけど、人はどうして自分が持っていないものを渇望してしまうのだろうかと思ってしまったのだった。
詩人の家の窓から見える風景はとても美しい。その美しさはまるで詩人の目に映る美しい風景を再現しているかのようで、カメラは詩人の視点を私たちにも見せてくれているように思った。私が私の目で実際に同じ風景を見てもそんなに叙情的に見えないような気がして、カメラワークでそれを見せてくれているように感じたのだった。
私には芸術家のものの見方が分かるわけではないので、詩人の女子高生に向けた欲情の目が創作上のものなのかどうか分からない。詩人は実際にそれを想像している時に若者の姿になっていて、実年齢の姿ではなかったから、芸術家というものはそういう風に頭の中で時空を超えた旅ができるものなのかもしれない。
弟子のソ・ジウの詩人への思いも複雑だ。羨望でもあり、嫉妬でもあり、独占欲でもある。そして何度も彼は工学部出身だから文学は分からないと繰り返し言われるのだけど、それはイコールではない様に思えて、そんなステレオタイプな偏見をはらんだ常套句はつまらないなと思った。私は理系でも非常に文学的な詞を書く人を知っている。この映画は文学を扱っているのに、その部分だけあまりにも文学的じゃない描写に感じたのだった。
詩人は弟子に「ウンギョ」の小説を盗まれて発表されたことは嫌だったけど、それ自体は許せないことではなかったのだと思う。でもウンギョがその小説を書いたのがジウだと、自分のことをこんな風に見てくれている人がジウなんだと思ったことが許せなかったんだろう。他の誰にも分かってもらえなくても、母がくれた鏡の大事さがわからないジウを知っている彼女には自分が書いたものだと分かってもらいたかったのだ、と思う。だから若さへの嫉妬なのだけど、ジウへの嫉妬というよりは「ウンギョ」という作品を発表するのに適した年齢への嫉妬みたいなもののような。
三人の行きつく先はハッピーエンドといえるものではないけれど、最終的にそれぞれが招いた結末として納得がいくものだったように思う。ウンギョの詩人への言葉は彼の最後の光となるのだろうか・・・?
いや、しかしパク・ヘイルの老人メイクはちょっと無理があったかも。ほぼ老人の動きだったけれど、時々若く見えてしまう時がありました。あと、キム・ムヨルの弟子の演技については神経質なのに無神経みたいなバランスの悪さがとても良かったです。