【韓国映画】詩人の恋 の感想 そう言ってくれるなら一緒にいれなくても大丈夫なのかもしれない

詩人の恋を見ましたよー 主役のヤン・イクチュンって俳優さんだけど、監督もしていたり、日本の映画にも出ていたり、賞もたくさん取っていたりして凄い人なんですねえ!全然知らんかったなあ。私の中では彼はムショ帰りのやっかいな兄のイメージなんですよ・・・ これは完全に優しい男大丈夫、愛だの影響ですね。まあ反対にそれがリアルな記憶として残るほど、鮮やかな演技だったとも言えるんだろうなあ。

なので、今回「詩人」役と聞いて一体どんな感じなんだろうと興味津々でした。韓国映画やドラマを見ていると、詩が登場することが多くて、ああ素敵な詩だなあと思うことも多いんですよね。だけど日本の映像作品ではそう感じたことが無くて。だから日本よりもきっと韓国の方がもっと日常に詩が結びついて慣れ親しんだものなのかなあって気がする。それとも日本でも私が見てないだけかしら。今度本屋さんに行く機会があったら、詩のコーナーがあるかチェックしてみようっと。

ストーリーはなんだかつかみどころがあるようで無いような気分になりつつ見ていたのでした。テッキのセユンに対する思いが「恋」というには複雑な絡み合った思いにだんだんと育っていくのは興味深かったです。恋に落ちた瞬間のそれはドーナツ屋のトイレで盗み見たセユンの行為中の表情で、確かに欲情したのはその後の結果(子どもが出来た)からも分かる訳ですが、その後は彼の現状への同情やまるで父親のような感情にも見えたりもして。ああ、なんだか不思議だなと思いながら見ていたのです。

結果的にどうなんだろうな。性別とかは置いておいても、守りたいと思えるのはやっぱり愛なのかもしれないね。

そして、最終的にはすれ違ってしまう二人で、それぞれタイミングが合わないのだけど、「一緒に行こう」というその言葉をもらえるだけでもういいんだよね。それをくれたらもう一人でも生きていける気がする。そういってくれる人がいたという事実があれば生きていけるというか、そんな感じ。だから、なんだか彼らの道が分かれてしまった気がしないのでした。結局、現実的な道を選んだようで、実は観念的な思いを持ち続ける道を選んだような、そんな気がした。

愛って何なんだろうなって、改めてそんなことを考えた映画でした。あ!とりあえずドーナツをむさぼり食べるテッキは最高に可愛らしかったですよね。そして済州島の風景も美しくてそこも良かったです。ところであの謝礼金は、セユンのおかげで子どもが出来たことに対してなのか、彼に会ったことで色々な感情を知って詩人として成功できたことに対してなのかどっちかな?それともどちらに対してもなのかな~なんてちょっと考えちゃった!

 


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【韓国映画】レッド・ファミリー の感想 何気ない日常こそが幸せなのだろうな

どうしてもやっぱり悲しいのですよ。北朝鮮を描く韓国映画を見ると。
そしてこのレッドファミリーもやっぱり苦しく切ない気持ちが溢れます。そして一体幸せってなんなんだろうなって考えてしまう。今の自分の立場から考えると、きっとある程度欲しいものも手に入れられる、やりたいことも制限されない西側諸国の方が幸せなんだろうなと想像するものの、例えば北朝鮮の本当の実態は知らない訳であって。だからそれが想像の範疇を超えない以上は、どちらが幸せかなんて簡単には判断してはいけないのだろうかとも思うのでした。

さて、この映画のストーリーは、北朝鮮から韓国に送り込まれたスパイのお話。彼ら4人はぱっと見は家族のようだけれど、本当は他人で偽の家族を装っているだけ。そんな中、隣の家族の日々の喧嘩などのやり取りを見て初めはバカにしているんだけれど、だんだんとそのペースに飲み込まれて行ってしまうんですね。そしてそんなスパイ一家に最終的にその隣の家族に対する暗殺命令が下されるが・・・という感じ。

だから、この映画は、物質的な意味での韓国への憧れという部分ではなく、たわいもない喧嘩をしながらも家族一緒に暮らしていることに対しての憧憬が描かれていたので、その点は納得感もあり、ぐっと揺すぶられるものがありました。スパイのメンバー達は結局、祖国に残した(というか人質に取られてる感じなのかなあ・・)本当の家族を守るために命令に従っているのですよね。だから彼らも人一倍家族を思う気持ちは強い。だからこそ、その隣の家族のやり取りをバカみたいだと思いながらも羨ましく思う気持ちが見ていて苦しい。そして一緒に家族のふりをしている仲間たちがだんだんと本当の家族みたいになって行くような感情の動きなんかも見ごたえがあって良かったなあ。

最後、お決まりだなと思いつつも、隣の家族のやり取りを完コピするスパイ家族に姿には思わず涙します。そう来るんだろうなと展開は見えたものの、それでもやっぱり泣いちゃったなあ。コメディーっぽく面白い部分もありつつ、直球で泣かせに来られたなという感じでした。

はーとにかく韓国人だとか北朝鮮人だとかの区別なく、みんなが幸せに暮らせる世界でありますようにとそんなことを切に願っちゃいますね・・・ 本当に心から。

 

レッドファミリーが見れるのは・・・





【韓国映画】真犯人 の感想 誰も、そして自分も信じられなくなる

映画の「真犯人」を見て来ましたよ~ ソン・セビョクが主演と聞いたら見ないとね!タイトルからも分かるように真犯人は一体誰なのか?というのを追うミステリーなんですが、実は私は最後まで真犯人が全然分からなかったんですよね。いつもわりと早いうちにだいたい犯人が分かってしまうタイプなので、そういう意味では楽しめましたよ~

ストーリーは、ソン・セビョク演じるヨンフンの妻が殺された現場が発見されるところから始まります。その後、犯人として捕まったのはヨンフンの親友のジュンソン。二人が不倫関係にあったのが理由というのだけれど、ヨンフンは信じられないでいたんですね。そこにジュンソンの妻が訪ねて来て、夫の無実を証明して欲しいとすがられ、二人で真実を究明しようとする過程で見つかったのが新たな容疑者。彼を捕まえて真実を明らかにしようと拷問までするが、その結果分かった真犯人とは・・・!って感じ。

う~ん。考えてみたら登場人物が大変少ないのだから簡単に真犯人が分かりそうなものなんですよ。分かる人はすぐにわかったのかもなあ。だけど、私はなんだかどんどんけむに巻かれていく感じで、何を信じていいのか刻一刻と分からなくなっていく感じでしたねえ。これは台本というよりは、配役の妙で、被害者の夫がソン・セビョクだったからこそかなあと。彼は明だけではなく暗をも飲み込んで内に孕んだような雰囲気があるじゃないですか。その部分がなければ成立しないストーリーなんだと思うんだよなあ。なので、夫の無実を信じる妻役のユソンも良かったんですけど、やっぱりソン・セビョクが抜群に良かったです。

見てて気になったのは、とにかくずっと言い争いというか、テンションが高めの言い合いが終始続きますので、そういう意味では大変疲れることかな。ここは好みが分かれそう。韓国ドラマを見慣れてる私でもかなりしんどかったので、そうじゃなかったら更にビックリしそう。

監督のコ・ジョンウクはこれが初めての監督作品のようなんですが、シーンの切り取り方にセンスがあるなあなんて思いました。特に殺人現場の状況へのこだわりや、鑑識官が調査している様子などの撮り方なども細部まで気を使っているのが伝わってきました。絵の作り方に対する美意識が感じられた気がする!

ところで、結局私が真犯人が最後まで分からなかった理由はなんとなくこんな感じかなあ。犯罪捜査系のドラマや映画は好きなので、わりと見て来た中で、最近は特にこった犯罪の場合が多くて、犯人たちは緻密に考えているパターンがよく見られる気がします。そういうのに慣れちゃってるところがあったのかも。だからちょっとネタばれになってしまいますが、この映画でジュンソンが無実になったとして、じゃあその後に自分が真犯人として捕まるとは思わなかったのかと。結果的には警察の捜査が杜撰で本人は捕まらずにオーライとはなったのだけど、そのあたりも偶然の産物というか。殺人自体もだし、その後のことも行き当たりばったりで何も考えてないけど、自分は大丈夫という根拠のない自信みたいなのを持ってるのが理解できなくてその人が犯人とは思えなかったんだろうなと。多分。ぬぬぬ。

まあそうこう言いつつ、最後まで楽しめたからいいんですけどね。殺人現場を再現してみちゃうような常軌を逸した被害者の夫役のソン・セビョクには完全に満足したし、そしてラストの苦い感じも韓国映画っぽい~と思いましたね。ヨンフンが何も言えなかったのが分かる気がするな・・・ 誰も、自分(というか自分の判断能力)も信じられなくなりますわ、こりゃ。

 

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【韓国映画】82年生まれ、キム・ジヨン の感想 誰が悪いのでもないのにどうしてこんなに辛いんだろう

82年生まれ、キム・ジヨンを見て来ました。予告編なども見たり、フライヤーも読んで内容についてはだいたい分かってしまっている状態で見たので、まあ思ってた通りだったという印象です。可もなく不可もなく。

ストーリー的には女性の立場としては、まさに女性が感じて来た生きづらさがとうとうこうやって言語化され、そして映像化されるようになったんだなあという感慨を覚えました。あまりにもそういう扱いを受けることが当たり前過ぎてそれが不平等だとか、ひどい扱いを受けている実感さえ持つことが無かったというか。そういう部分が少しずつだけどこうやって公に主張される機会があることで、やっと私たちもそうだったのかと気づくことが出来るようになってきた気がします。まだまだ不完全で平等なんてほど遠くはあるけれど、でもこうやって議論に上ることに意義があるよなあと思うのでした。

ところで映画についていうと、ちょっと残念だなと思う部分がいくつかありました。なんというか韓国ドラマっぽい演出が気になってしまったんですよね。ジヨンの夫テヒョンが同僚にコーヒーをかけるシーンとか、友人の妻のことだけど・・・といってジヨンのことを同僚に相談するシーンとか。せっかく映画なのに安易な演出というか感情の見せ方の方法を使われている部分が多くてちょっとがっかりしてしまった。そういう意味では同じ韓国映画の「はちどり」の細やかな描写というのは本当に素晴らしかったなあと比べて思ってしまった(それよりも早くはちどりの感想を書きなさいって感じだけど・・・わーん)。同じように男尊女卑の描写があったんだけど、簡単に言葉にするのではない表現方法の方が心に残るものなのだなとしみじみ思いました。
そうそう、ネタバレになってしまうけれど、ラストでジヨンが彼女自身を取り戻す方法として筆を執るというのも少し楽なハッピーエンドにしてる感じがあまり好みではなかったかな。だって、私たちの問題は何もまだ解決していないのだから。現実的な苦さを描きつつ、それでも一筋の希望を見せて欲しかった。

さて、ところでこれは全く私個人の好みの問題なんですけど、どうやら私はやっぱりあんまりコン・ユが得意じゃないみたい。コーヒープリンス1号店なんて挫折してますしトッケビも見たけど、全くはまれなかったし。新感染の時はまあいい感じかなあとは思いましたけども。だから余計に今回のテヒョンにちょっとイラっとしたかもしれない。もちろん、彼をとことんいい人にすることで、夫婦間の問題ではなく、社会の問題だというところに焦点を当てたかったんだろうなというのは理解しているんですよ。でもさ、夫が全然ダメだから~って夫のせいにすることで妻はどこか心の逃げ道って作れる部分があるのかもしれないとも思って(それが正しいこととは言わないけど)。だけど、この映画ではジヨンはそうやって逃げるはけ口が全くないんですよ。だから内側に向けるしかないという感じで病んでしまった部分もあるのかな・・・

それにしてもなんだかやっぱりこういう映画を見ると少し絶望的な気分になるのも否めない。男性も男らしさを求められて大変だというのは分かってるし、それぞれしんどい部分はあるんだと思う。だけどさ「女性」の何がしんどいって「下に見られる」という生まれた時からずっとどこか見下されている感覚じゃないだろうかと思ったのです。「男らしさ」にはこの見下すという感情までは含まれていない気がして。そのままでいるだけで、見くびられるというこの当たり前って本当にしんどいですよね。

なんてことをツラツラと色々と考えさせられる映画ではありました。ちょっと原作の小説も読んでみたいかな。むしろ小説のラストが気になりますね。

 

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【韓国映画】グッバイ・シングル の感想 色んな形の家族の形があっていいよね

キム・ヘス主演のグッバイ・シングルを視聴しました!コメディータッチではあるんだけど、なんだか色々考えちゃった部分もあったかな・・・
このグッバイ・シングルというタイトルなかなかピッタリよね。結婚して子供産んでという形でのグッバイ・シングルではないけれど、今の時代は色んな形の家族の形があってもいいよなあなんて思うのであった。

キム・ヘスが演じるヒロインのコ・ジョヨンのお相手役は長年彼女のスタイリストをしているパク・ピョング役のマ・ドンソクになるのかな?と最初のうちは思っていたけど、全然そんな単純なラブストーリーではありませんでした~

年下の彼氏に裏切られたり、年齢とともに人気にも陰りが見えて来たジュヨンは、自分の味方を作りたいと子供を作ろうとするも、お医者さんに閉経を告げられたりで自分自身では難しい。そんな時に出会った中学生の妊婦のキム・ダンジ。彼女の子を1億ウォンで引き取って自分の子どもとして育てようと妊娠を偽装することに。それ本当にやっちゃったら犯罪なのでは?なんて話になっていっちゃうんだけど、最後の着地点はちゃんと正道に戻って良かった良かったってな感じ。

キム・ヘスはもちろんだし、周りを固めるサブキャラ達も盤石なので、そういう意味でも安心して楽しめるコメディーかなとは思います。ダンジの姉カップルが本当にひどい人だったり、そもそも自分の絶対的な味方が欲しいから子どもを作るって子どもを所有物として見ててちょっとどうなのかとか、ジュヨンのダンジの扱いが最初はひどかったり(そんなんで子ども育てられるのかい!?)という辺りなんかはちょっと見ててしんどい部分もあるかなあ。まあそういうのを通じてだんだんとジュヨンが成長していって、自分のことだけしか見えなかったのが、周りの人にどれだけ助けられて守られてきたのかということに気づいていく展開にも繋がって行くのかなとも思いますが!

そうそう、ダンジを妊娠させちゃう相手役をカン・チャニくんが演じてます。相手を妊娠させといて、自分はゴルフの選手代表として遠征とかしちゃうんですよ。ひどい。ほんとマジで女性は自分の体は自分で守らないといけないね・・・ それにしてもアイドルだしイメージが大事そうなのにこんなひどい男の役を受けるんだ!という勝手な驚き。役者さんなんだなあと思ったり。

私はキム・ヘスが好きなので、彼女のナイスバディーやらちょっと高飛車な女優役を楽しませてもらいました。役によっていつも全く違う空気を纏ってくれるので見ててほんと凄いなあと思います。コインロッカーの女の時と同じ人とは思えないよ~!!!

 

グッバイ・シングルが見れるのは・・・
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