野球少女も映画館で見たんですよ。そうしたら感想を書くまでにもう各配信サービスで配信が始まってましたねえ!最近は本当に公開から配信までの時間が早いなあ。もちろんコロナ渦という事もあるのだろうけど、それでもビックリするくらいスピーディーだなあ・・・
この作品は、野球も好き、映画も好き、主演のイ・ジュヨンも好きという私にはピッタリなので見なきゃなと思って劇場に足を運んできましたよ。スポーツものというよりは、感情の面に重きを置いている印象を受けましたし、野球のことを知らなくても楽しく見れる映画だな~と思いました。むしろ野球を好きな人がその部分を目当てに見に行くと物足りない気がしちゃうかもしれません。私はその部分がほどほどだったのが良かったな。変にマニアックになっちゃうと、見る側も野球の細かい部分が気になってしまう気がするので、これくらいで良かったな。
まあしかし、この作品は主役にイ・ジュヨンを持ってきたのがもう成功ですね。彼女の鋭い視線が素晴らしいのですよ。強い意志を持った目を如実に表現してくれていて、非常にグッとくるんですね。
私は日本の野球しか知らないから、韓国の野球をあんまり知らないんだけど、やっぱり球速が早いスピードボールを持つパワーピッチャーが一番の花形なのかなあ?日本では、最近はそうでもないというか、サイドハンドとか色々なピッチャーが増えてきて、一概にはそうも言えなくなってきた気もするんですけどね。とはいえ、やっぱり160近くとかの球速が出ると、記事の見出しになってる気もするし、早くて強いストレートを投げられる選手が魅力的なのには違いはないですけども。
でも映画でコーチが言っていたように、打たれない球を投げれば良い訳ですからね。そうして最速が134キロのスインは、ナックルボールを投げるという選択をするんですね。ここで思い出すのは、ナックル姫と呼ばれた吉田えり選手ですね。彼女も小柄だけど、果敢に挑戦していたなあと思い出すのでした。
何よりも良かったのは、スインのまっすぐな思いですね。まわりに現実を見て女子野球チームに行けばいいと言われても、全くその気がないし、むしろなぜそんなことを言うのか分からないという感じなのがいい。なんだかあの感覚分かる気がするんですよ。「無理」「あきらめろ」「普通に考えたら」という言葉の意味が本気で分からない感じ。彼女が見ているものと周りが見ているものが全く違う感覚。最終的に映画のようには現実にはうまく行かないかもしれないけれど、新しい視点を持って、自分の目標に立ち向かっていくその熱量はきっとまわりの人をも巻き込んで、彼らをも熱くさせるというのだけは本当な気がするな。
あといつもは少し微妙な役の多いイ・ジュニョクがなかなか良い感じのコーチ役で出演していたし、まあでもこの役も最初はちょっとひねた役とも言えるかもだけど、そういう部分も含めてピッタリのキャスティング。あとクァク・ドンヨンもドラマでは微妙な役が多い気がするんだけど(サム・マイウェイのエラの元カレ役とかね)、今回のイ・ジョンホ役は完全に好青年で良かったね~なんて勝手に思うのであった。ジョンホとスインの同志としての相手を尊重し合う間柄が良くて、安易に恋愛に走るという筋書きでないのも良かったです。とても。
ちょっと不満を言うとしたら、スインのお母さんへの視線が厳しい部分かな。結局のところ、彼女のような生き方をしている人が現実には多いだろうと思うし、そしてそういう人がいてこそ、スインのように夢に向かって行ける人が存在する気もするんだよな。諦めきれずに罪まで犯してしまうスインの父親への視線は優しい気がするのに、最後まで母親の描き方はあんまり優しくない気がしちゃったな。あの父親みたいな人がいるから娘は夢を諦めないでいれたのも本当だし、あの母親がいたから生活が出来たのも本当だろうし、うーん。その辺はちょっと偏ってた気もするなあ。
それはさておき「これからが始まり」という終わり方がとても素敵で好きでした。映画を見た人も熱さに巻き込んでくれるようなそんな映画でありましたよ!