【韓国映画】真犯人 の感想 誰も、そして自分も信じられなくなる

映画の「真犯人」を見て来ましたよ~ ソン・セビョクが主演と聞いたら見ないとね!タイトルからも分かるように真犯人は一体誰なのか?というのを追うミステリーなんですが、実は私は最後まで真犯人が全然分からなかったんですよね。いつもわりと早いうちにだいたい犯人が分かってしまうタイプなので、そういう意味では楽しめましたよ~

ストーリーは、ソン・セビョク演じるヨンフンの妻が殺された現場が発見されるところから始まります。その後、犯人として捕まったのはヨンフンの親友のジュンソン。二人が不倫関係にあったのが理由というのだけれど、ヨンフンは信じられないでいたんですね。そこにジュンソンの妻が訪ねて来て、夫の無実を証明して欲しいとすがられ、二人で真実を究明しようとする過程で見つかったのが新たな容疑者。彼を捕まえて真実を明らかにしようと拷問までするが、その結果分かった真犯人とは・・・!って感じ。

う~ん。考えてみたら登場人物が大変少ないのだから簡単に真犯人が分かりそうなものなんですよ。分かる人はすぐにわかったのかもなあ。だけど、私はなんだかどんどんけむに巻かれていく感じで、何を信じていいのか刻一刻と分からなくなっていく感じでしたねえ。これは台本というよりは、配役の妙で、被害者の夫がソン・セビョクだったからこそかなあと。彼は明だけではなく暗をも飲み込んで内に孕んだような雰囲気があるじゃないですか。その部分がなければ成立しないストーリーなんだと思うんだよなあ。なので、夫の無実を信じる妻役のユソンも良かったんですけど、やっぱりソン・セビョクが抜群に良かったです。

見てて気になったのは、とにかくずっと言い争いというか、テンションが高めの言い合いが終始続きますので、そういう意味では大変疲れることかな。ここは好みが分かれそう。韓国ドラマを見慣れてる私でもかなりしんどかったので、そうじゃなかったら更にビックリしそう。

監督のコ・ジョンウクはこれが初めての監督作品のようなんですが、シーンの切り取り方にセンスがあるなあなんて思いました。特に殺人現場の状況へのこだわりや、鑑識官が調査している様子などの撮り方なども細部まで気を使っているのが伝わってきました。絵の作り方に対する美意識が感じられた気がする!

ところで、結局私が真犯人が最後まで分からなかった理由はなんとなくこんな感じかなあ。犯罪捜査系のドラマや映画は好きなので、わりと見て来た中で、最近は特にこった犯罪の場合が多くて、犯人たちは緻密に考えているパターンがよく見られる気がします。そういうのに慣れちゃってるところがあったのかも。だからちょっとネタばれになってしまいますが、この映画でジュンソンが無実になったとして、じゃあその後に自分が真犯人として捕まるとは思わなかったのかと。結果的には警察の捜査が杜撰で本人は捕まらずにオーライとはなったのだけど、そのあたりも偶然の産物というか。殺人自体もだし、その後のことも行き当たりばったりで何も考えてないけど、自分は大丈夫という根拠のない自信みたいなのを持ってるのが理解できなくてその人が犯人とは思えなかったんだろうなと。多分。ぬぬぬ。

まあそうこう言いつつ、最後まで楽しめたからいいんですけどね。殺人現場を再現してみちゃうような常軌を逸した被害者の夫役のソン・セビョクには完全に満足したし、そしてラストの苦い感じも韓国映画っぽい~と思いましたね。ヨンフンが何も言えなかったのが分かる気がするな・・・ 誰も、自分(というか自分の判断能力)も信じられなくなりますわ、こりゃ。

 

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