キム・ナムギルが出演してるので、見てみた映画なんですが、同性愛を真正面から描いた作品でありました。異性間よりも同性間の方が激情的な愛にとして描かれることが多いのは、現在の状況でははじまりからそこに存在している障害が大きいため、気持ちの上で「それでも好きだ」と実感して行動に移すには、それを乗り越えてでもと決めた時点ですでに深い愛になっていることが多いからなのかもしれないのかなあ。
そして、どうやら監督のイソン・ヒイルは監督として初めて同性愛者だと公表した方だそうです。そう聞くと、映画の中の登場時人物たちがとてもリアルだったのも納得かなと思います。
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とにかくこの映画で特に心に残ったのは、いろいろな事件や事柄がほとんどといっていいほど、事前と事後の描写で、実際の過程が省かれていることが多いことです。例えば、ジェミンが溢れだすやるせなさを抑えきれず、エレベーターの中で鏡を殴るシーン。映されるのは傷ついて血を流す拳と割れた鏡。実際に殴ってる描写はない。他にはカラムの事故シーン。逆さになった車と血を流すカラムが映される。後者は予算の関係かもしれないけれど、前者は違いますよね。実際には起こっている部分の詳細は省いて、視聴者に察してもらうという手法が多様されていて非常に印象に残りました。
そして、逆にジェミンとスミンのセックスシーンに関しては克明に描かれているんですよね。ふつうのドラマとかだとむしろ事後のシーンに飛ばされがちな部分ですが、スミンの仕事がホストということもあるし、この作品では二人の体の関係だけではなく、心の交わりや変化も表現される重要な部分ですもんね。他の事柄では真ん中が飛ばされてるだけに、余計に心に深く刻まれる感があります。という訳でこういう描写手法が大変興味深かったです。そこが一番心に残ったかも。
あとは役者さんの演技もとても良くて、キム・ナムギル(この映画では旧芸名のイ・ハン名義)とイ・ヨンフンの文字通り体をはった熱演が光りました。特にスミン役のイ・ヨンフンの表情がとても魅力的でした。惹かれる気持ちを抑える表情。堰き止めていた箍が外れた後の好きでたまらないという気持ちを溢れさせる表情。ジェミンがスミンに惹かれてしまう気持ちが分かるようなそんな感覚を与えてくれましたなー 他の出演作も見てみたいな。
まあなかなか二人の関係はとんでもない方向に向かうんだけど、それでもあの最後のシーンに同性同士ならではの、お互いの体のことが分かるからこそ、というようなことも言えるのかなあなんて思いつつ。なかなかの力作映画。見ごたえありました!