【韓国映画】8番目の男 の感想 分からないから知りたいんだ

映画「8番目の男」を見ました!少し前に見たんですけど、とても面白かったです。
ジャンルは法廷エンターテイメントと言えばいいんでしょうか、初めての国民参与裁判での陪審員たちの選択から目が離せません。

脚本が非常にうまく出来ていて、与えられる感情の配分が非常にバランスがいいんですよね。思考させ、感動させ、爽快感もあるみたいな感じ?もちろん実際の裁判とは違って盛ってる部分も多分にあるんでしょけども、それでもこのシステムについて興味をわかせたり、法について考える機会としては非常に大きいものがあると思うんですよね。そういうのを考えた時にはやはりエンタメの力は凄いと思います。

また、取り扱っている内容を庶民の目線に持ってくる意味でも陪審員たちが主人公というのは非常に効果的なんだなと思いますし、またキャストが抜群で良いです。いわゆる邦題のタイトル「8番目の男」のクォン・ナム役のパク・ヒョンシクの法への理解度は非常に私たちと似通った程度のもので、彼の「分からない」という正直な気持ち、だからこそ「本当のことを知りたい」という気持ちに共感せずにおれず、思わず一緒に真実を追い求めている気持ちになる。それは他の陪審員たちをも動かしていくし、判事を初心に帰らせたりもする。

どうしてもクローズアップされるのは、陪審員8なんだけど、チョ・ハンチョルが演じた陪審員5も良かったですね。いつも上の意見に従っていた彼が、「自分の考えは?」と問いかけられた時に、はっとする表情。あれもまるで見ているこちら側の状況を代弁してくれてるみたいに感じてしまった。そして、私自身も分からないからと思考停止状態で与えられたものをそのまま受け取り過ぎていないだろうかと考えてしまいましたね・・・

あと、印象に残ったのは、被告人カン・ドゥシクの娘役を演じていたシム・ダルギ。彼女のひたむきな演技も陪審員の心を動かす原動力になったことに対する説得力が増した要因の一つに思います。もちろんムン・ソリの存在感も間違いなしだったし、キャスティングも全体的に良かったなあ。

法廷ドラマの1部分で陪審員裁判が出てくるのを見たくらいで、メインの題材として扱われている映画を初めて見ましたが、派手な内容ではないけれど、脚本も非常によくできたとても良い映画でした!ちゃんと面白くもあるのがポイントですね。

 

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【韓国映画】王の男 の感想 カム・ウソンの演技が素晴らしい!

遅ればせながら「王の男」を見ました!香港や中国映画に夢中で韓国映画をあんまり見たことが無かった時でもタイトルだけは聞いたことがあるくらい有名な映画です。ですが、デジタルリマスターされたみたいで今になってやっと見ることになりました。

イ・ジュンギの美しさにはもちろん目を奪われるんだけど、私はカム・ウソンの演技に釘付けになっちゃったんですよね。初めて見た俳優さんだったんだけど、ほんと素晴らしい俳優さんが沢山いるんだなあって改めて思ったのでした。

ストーリーも面白かったんですが、芸人集団の話というのがとても興味がありました。韓国の芸人の映画というと「風の丘を越えて/西便制」を思い出しました。あちらは伝統芸能なので、全く芸の内容が違うよ!と怒られてしまいそうですが、人々の生活に密着したものとして、それらをメインに置いて作られた作品に私は非常に興味があります。それは自国他国に関わらず見たことが無いような風景を覗けるのって面白いな。映画なので、あくまでも誰かの創作なんだけど、知的好奇心の入り口としては十分かなと思う。

ところで、この映画の中の彼等の劇はもしかしたら下世話だと感じる人もいるのじゃないかと思うんですが、この時代は、きっと娯楽といえば人々の夜の生活なんだろうな。昔の日本の村でもきっと似た感じの劇なんかもあったんじゃなかろうか。ただ、時事ネタや風刺ネタというのは日本ではどうなんだろう?昔はそういう部分もあったのかもしれないけれど、今は芸人さんは出来るだけそれには触れないようにしていると感じる。欧米などではかなりスレスレの風刺があってこその芸という文化がある気がするんですよね。お笑いとかコメディとか言ってもその国によって少しずつ違うよね。

そうそうストーリー展開で、一点だけよく分からないのが、王のコンギルへの気持ちがなんだったんだろうかということです。途中まで母への思慕の念がコンギルへ乗り移ったような描写に見えていたのに、突然のキスで混乱した感じ。それまで王の男色的なコンギルへの思いを敢えて描写しないようにしていたように見えたのに、そのシーンによって結局そうだったの?と訳が分からん気持ちになってしまったな。チャンセンは完全にコンギルが王に体を求められていると心配していたけど、そうじゃなかったからコンギルは王の孤独を見て宮廷に残ると言ったのかと思ったので、そのまま何も無かったら納得したんだけど、王は性別関係なく結局ただそういう人だったってことかな?なんだかどっちつかずな気がしてしまう。ただ私の理解が足りないだけかもしれない。でもやっぱりよく分からないや。

とかいいつつ、ストーリーはとても面白かったし、ラストも良かったし、いい映画を見たと思いました。デジタルリマスターされるくらいですしね。やっぱり時がたっても良い映画は良い映画なんだな!

 

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【韓国映画】7号室 の感想 シン・ハギュン×ド・ギョンスの攻防が見どころ!

今回は、少し前に見た韓国映画「7号室」の感想です。シン・ハギュン×ド・ギョンスが主演です。ド・ギョンスは映画やドラマで俳優として活躍しているイメージですが、私が彼の出演作を見るのはこれが初めてかと思ったら、大丈夫、愛だで一度見てますね。しかし、主役級のを見るのは初めてです。なんとなく、良い人側も悪人側もどちらも演じられそうな顔つきだなと思うので、役者さん向きな気がします。

ストーリーは、DVDルームの社長のドゥシク(シン・ハギュン)とバイトのテジュン(ド・ギョンス)の攻防がメインです。やっと買い手が見つかったDVDルームなのに、不慮の事故でバイトが死んでしまい、売買が成立するまではと死体を7号室に隠すドゥシク。そして苦学生のテジュンは高額の報酬のためにクスリを預かるがそれを7号室に隠すと。その7号室を開けたいテジュンと開けたくないドゥシクのやり取りが見どころです。

そういった感じで、ほぼDVDルームで話が進んでいくシチュエーションブラックコメディという趣なので、とにかく主役の二人のやり取りがすべてという役者さんの技量に頼った部分が大きい作品なのかなと思います。確かに二人のやり取りはリズムも良く面白くはありましたね。

まあただ、そこに頼り過ぎた部分があるのかなという印象もあり、予想を覆すような展開が無くて、ラストまでそのまま終わっていく感じ。だから、面白いんだけど、すごく面白い訳ではないと感じてしまったかな。

ブラックな要素に降り切れてる訳でもなく、予想できないサスペンスでもなく、大筋はすごく面白くなりそうな題材なだけに、もう少し面白く出来そうなのにな~と見た後に思ってしまうのがちょっと残念でした。でもそれなりに面白かったです!

 

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【韓国映画】はちどり の感想 それでも世界は美しいと信じたいんだ

「はちどり」は、どこか胸の奥がチリッとする映画だった。

積み重なる「女の子なんだからこれはしてはいけない。こうしなければいけない。」は、心を疲弊させる。それは多分、一生付き纏うものなのだ。

もちろん、女性にせよ、男性にせよ、どちらもそれぞれに不自由が存在するのは理解しているのだけど、不自由の種類は違う気がする。「男らしさ」はもっとやれと要望、要求を求められるイメージ、「女らしさ」を求められる時、それは抑圧、制限として現れることが多い気がする。正確には私は女性側のことしかきちんと理解できていないとは思うのだけど、私の経験から言うと、能力があっても「女だから」という理由でやる必要はないとやらせてもらえないことがよくあった。例えば勉強、仕事、家庭など本当に全ての場面で。体格差のせいで出来ないとかそういう部分を差し引いてもあまりにもそういうことが当たり前のように存在していて、生きて行くためにそれに対する感受性を鈍くする練習を積んできた気がする。けれど、この映画を見てそうやって隠してきた感覚があらわにされて、そのせいで胸がチリっと痛んだのかもしれない。

私はこの映画の中の家族で見られるほどの男尊女卑を経験した訳ではないし、暴力をふるわれていた訳ではない。けれど私も兄がいてずっと比較されて生きて来て、家族からの言葉に確かに傷ついて、ウニのように孤独だった自分を思い出してしまうのだった。

映画を見た瞬間のその雫は岩をうがっただけなんだけど、内容を思い出す度にその雫が落ちて穴が大きくなり、最後には底まで開いた穴から涌き水のように感情が徐々に湧き出てくる感じがした。しばらく、余韻に浸っていたし、未だにこの映画のことを思い出すと感情が溢れてしまう。劇場公開時の今から1年半前くらいに見たのに!

それにしても。監督が表現したいことをここまで繊細に具体的に映像化できてしまう才能に感嘆してしまう。この感じはロングデイズジャーニーの映像を見た時と少し似た感覚かもしれない。

理不尽な世界でやっと見つけた確かな光のようなもの、それは先生もだし他の大切なものも突然失ってしまうし、永遠ではなくて。そんな風に見つけた光は掴むことも出来ずにたやすく消えてしまうけれど、それを諦めずに繰り返す。またそんな存在に会えるのかもしれないと、そこに残ったのは確かな希望なのだった。私たちの生活とはそんなささやかな光を集め続けることなのかもしれない。

大事にされていないと思っていた自分の存在だけど、病気になった時に心配する両親の姿を見て、実は大切にされていたと知ること。だけど、親も昔からの男尊女卑の時代のルールに従って生きていて、それが当たり前の意識として存在していることも思い知らされる。誰かに認められたいだけなのに人々はそれぞれあまりにも生きることに疲れている。

画面に映しとられた木漏れ日があまりにも美しく、理不尽な世の中だけれど、それでも世界は美しいと信じられる気がした。もしかしたら「信じたい」かもしれないけれど、そう思わせてくれることが既に希望なのだった。

私たちは理不尽と希望の折り合いをつけてしなやかに生きて行くことが出来るのだろうか。

 

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【韓国映画】シークレット・ジョブ の感想 着ぐるみ動物園は無理があるかな

エクストリーム・ジョブが面白かったので、同じ制作会社が手掛けた作品と聞いて鑑賞してみた映画「シークレット・ジョブ」なんですが、前作のような手ごたえは感じなかったかな。面白いと言えないこともないかな、という感覚が正直なところ。

ドラマの場合は倍速で見ちゃうこともあるんだけど、基本的に映画はそのままの速度で見るのが信条の私なんですが、今回は申し訳ないけど、早回しで見ちゃったんですね・・・

ただ、エクストリーム・ジョブと同じ空気感は確かに感じて、ギャグの差し込みどころとか、どこか牧歌的な雰囲気は嫌いじゃなかったんですけど、だけど前作の場合はそのノリが警察という固い組織とのギャップがあるからこそ面白かった訳ですもんね。

今回は着ぐるみで動物園の本物の動物のふりをするというあまりにも無理のある設定な訳ですから、もっと突き抜けたノリが必要だったのかなと思う。ぶっ飛んだノリを詰め込みまくって視聴者をもっと力ずくで納得させて欲しかったな。動物園に派遣される弁護士のテス役がアン・ジェホンだったのも彼と動物園という組み合わせにピッタリ過ぎて違和感が無くて面白くないんですよね。もっと強面な役者さんだとギャップがあって面白かった気がするけどどうでしょう?まあね、シロクマ姿のままコーラをうっかり飲んじゃいそうなイメージというのをメインに置いてのキャスティングだとしたら完璧な気もするけど。

ストーリー的にもどうなるんだろうというドキドキ感もないし、そうなるでしょうねという展開で、よく言えば安心と言えますかね。映画館で見るというよりおうちでのんびりしてる時に見るには良い作品かもしれないかな!平穏!

 

シークレット・ジョブが見れるのは・・・
⇒Netflix