【韓国ドラマ】mother の感想 人類の歴史の中で連綿と続く母と子の関係に思いをはせてしまう

イ・ボヨンが主演のmotherを視聴終了しました!松雪泰子が主演だったmotherってドラマが日本にもあったよな・・・と思ったら、どうやらそのドラマを韓国でリメイクしたものらしいです。ドラマの最初でちゃんとクレジットが入ってました。最近、日本のドラマを韓国でリメイクっていうのも多いし、その逆もしかりなので、そういうの面白いなあ。リメイクすると視点が違う描かれ方をすることも多いのですごく興味深い。比較することで見えてくるドラマの中の自分が好きな描写に気づいたりしますしね。とはいえ、日本のmotherは見ていないので比較できないんですけども・・・ ただ、日本版もすごく評価されていた記憶があるのでこのドラマに関しては機会があれば見てみようと思います。

 

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しかし、虐待のシーンなどもあるなかなかヘビーな内容ではあるので、劇中で雪が降っているのと同じように悲しみも心に降り積もったようで辛くなってしまう。一気に見る勇気がなくて、1話ずつちょっとずつ見ていました。こういう内容のドラマは制作するにも、演じるにもきっとすごいパワーを消耗するのだろうと思うのです。子役ちゃんもすごく上手だったけど、うまければうまいほどこちらの心は抉られてしまう・・・

人類の歴史の中で連綿と続く母と子の関係を考えるとその濃厚さにクラクラするような気分で見ていたんですが、母親というのは一体いつ母親になるんだろう。産んですぐに母性を感じることができる人もいるだろうし、そうではない人もいる。動物でも育児放棄をする個体があることを考えると人間にもその現象があって然るべきの様な気がする。また、このドラマでの繰り返し描かれていたように、血がつながっていなくても母親になれるのだと思うのです。明確に答えのあるものではないから色々と考えてしまう。でもそうして考えることが大切なのかな、とも思う。

素晴らしい問題提起を喚起するドラマでもあり、映像も美しく素晴らしかったんですが、いくつか気になったこともありました。

このドラマはmotherというタイトル通り母が主題ではあるものの、母と娘(いつかまた母になるであろう)とのどこか濃厚な関係が描かれるドラマでもあったのだと思うのです。もちろんその中にはスジンがヘナを助け出したいと思う理由となる彼女への虐待の場面が描かれる必要があったのだけど、ソラクの存在をクローズアップし過ぎたせいでちょっと話が広がりすぎた気がしています。ソラクがヘナを誘拐するという下りは、このドラマにショッキングな事件性をもたらして、派手にはするけれど必要だったのかな?と疑問に思うのです。彼自身も虐待を受けていた、そしてそれはトラウマとなって次の世代にもそれがつながって行ってしまうという意味では彼もどこか被害者の一面があると思うのだけど、あの事件でただの加害者になってしまう感じがあって。いやもうそれまでにもすでにたくさんの被害者を出しているので、変わらないといえば変わらないですが。なんだか母と娘の関係性が主題だと思っていたので、男である彼を描写する部分は少しtoo muchかなと思ったのでした。

あとは最後にスジンとヘナが一緒に暮らせるようになるのがどこかファンタジーのような気がして、せっかく現実の問題を描いているのにもったいない気がしてしまいました。ヘナには幸せになって欲しいという気持ちで見ていた部分もあるのですが、そこは直視して描いてほしい気もしたり。そしてチャヨンがシングルマザーとして子どもを育てる時にソラクしか優しくしてくれる人がいなかった・・・というシングルマザーに対しての社会の厳しさが現代の問題だと思うので、その点をあまり深く掘り下げて描いてなかったな・・・と思ってしまいました。ソラクの話の方に行ってしまったというか。子どもを一人で育てるという厳しい現実から逃げたくてチャヨンはあんな風にしか生きていけなかったんだと思うもの。それが正しいことではないとわかっていても。

 

はあ、見るのにちょっと辛くなることもあるヘビーなドラマではありましたが、見ごたえのある良いドラマでした。気になった部分(特にラスト)が日本のドラマではどうなったのかやっぱり知りたいなと思うので、いつか見比べないとかな!と思いました。

 


日本のドラマ版も見たい。