【韓国ドラマ】秘密の森 の感想 その森の中で罠にかかってしまったら抜け出す術は死しかないのだろうか

は~めちゃめちゃ面白かったです「秘密の森」。タイトルも秀逸で、まさに深い森に迷い込んだように答えが見えなくて、進めば進むほど増える木々に出口が見えなくなって行く感覚が味わえます。大きな組織とはまるで森のように木々で覆われて光がささなくなり全容がどんどん見えなくなって行くものなのかもしれない。

 

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キャスティングもかなり良いです。神様がくれた14日間ですごくいいと思って出演作をもっと見たいと思っていたチョ・スンウ。個性派で有名なペ・ドゥナ。そして製作がSTUDIO DRAGON。私がここのドラマで面白いなと初めて認識したのはThe K2からかな?全部が好みという訳ではないけど、特にここのでこういう想像の上を行くストーリー展開のサスペンス要素が入ったドラマは面白いのが多い印象なんですけど、どうでしょう?

とても複雑で入り組んだストーリーで、どこまでが仕組まれているのか誰が味方なのかが分からなくなってくるところが不穏ではあるんだけど、ファン・シモク検事(チョ・スンウ)とハン・ヨジン刑事(ペ・ドゥナ)のラインの繋がりは確かなので地に足をつけて見ていられる感覚がある。一瞬疑うくらいかな。そしてどんどん疑わしい人が増えそして真実が展開されて行く構成だけど、削る部分はちゃんと削っている気がする。例えば、女刑事だと同僚に揶揄変にされる立場の描写をドラマでよく見るけど、それはここではない。また、主役のファン・シモク検事が感情を持たない設定なのもそのためかもしれない。そういう風に一番表現したいことに対して不必要と思われるものを極力削って実はシンプルに作られている気がするのですよね。

感情を無くしたファン・シモクを演じるチョ・スンウの演技も当然のように良かったんですが、ペ・ドゥナもすごく良かった。実は私は彼女の演技を見るのは初めて。だけど、嫌味のないでも仰々しすぎない刑事役があまりにもかっこよくて素晴らしかったな。正義感と熱い心を持った刑事ではあるけれど、警察大学出身という頭の良い冷静さも垣間見せつつ、という役づくり。一気に好きな女優さんになりました。そして着てる服も素敵なのですよね。刑事役だし派手な服装という訳ではないのだけど、パンツの形や丈、横にスリットが入ったスーツのジャケットなどちょっと細部にこだわった個性的な服たちがとても似合う。自分に合うものをしっかり知っている人なのだなあ!

彼女のセリフで手塚治虫の言葉を引用するシーンがあって、そういうのを見ると脚本家の方のイマジネーションの元のひとつに彼の漫画があるのだと思うと、大切な思想って国という単位を超えるのだと思った。それは日本からだけではなくて逆もしかりですよね。

本当に脇役陣もみんな素晴らしかったのだけど、実は印象に残ったのはイ・チャンジュン次長検事の妻を演じたユン・セア。にっこり笑っているのだけど、背筋が冷たくなるような笑顔が忘れられません。綺麗なだけじゃない迫力がありました。

ドラマのラストで思い浮かんだのは樹なつみの花咲ける青少年という漫画に出てくる侍従のクインザ。クインザは自分の王を守るために最後に王の敵をすべて告発してから死んでいくんです。設定も立場も違うのですが、大切な何かを守るために「悪いものを私がすべて連れて行きます」という気持ちが少し似ている気がして、思い出してしまったのでした。

 

こうして感想を書いていても非常に見ごたえがあって面白かったな、と改めて思います。特殊な能力が使える人物が出てくるドラマはいくつかあるけど、「感情が無い」という欠けた部分があるということが能力に成り得る、という事実は一つの大きな気づきだったな。他の人と違って何かができるというのは普通の能力プラス特殊な能力と思い込んでいたけれど、そうとは限らないという発想が非常に面白いなと思うのでした。

先が見えない展開や頭を使うドラマが好きな人には大変オススメです。もう一回見たらちりばめられたストーリーのパーツがもっと見えてくるのかもしれないな。また時間を空けて見てみたいです。

 

秘密の森が見れるのは・・・
⇒Netflix