失踪ノワールMはかなり前に視聴を終了したもののなかなか感想が書けずにいました。
あまりにも好きで余韻があると感想を書くまでに色々と頭の中で反芻してしまい、うまく文字に出来ないんです・・・ このドラマもそんな感じ。
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U-NEXTで見たのですが、全16話になっていたので始めはOCNのドラマとは気づかず。でも1話を見ていると、ん?これはOCNっぽいぞ、と思って調べてみたら、本当は10話編成のOCNのドラマでした。やっぱり!
OCNの犯罪捜査ものはどれも好きですが、このドラマの完成度はピカイチではないでしょうか?バッドガイズも好きだけど、それよりももっと心に突き刺さります。抉られる。
ただ失踪者を探すというのではなく『正義とは?』というドラマの中で描かれる問いを見ている視聴者の心にも突きつけて来る。その問いに照らし合わせて自分の考えも浮かび上がらされざるを得ないようなそんなドラマです。『正義とは何か』というドラマで描きたかったのであろうテーマが背骨みたいに中心を貫いていて、それがこのドラマを見応えのあるものにしています。もちろんそれぞれのエピソードも緻密に構築されて素晴らしいのもあるんですけども。
改めてこう理解するのです。誰かにとっての正義は違う誰かにとっては正義ではなく悪のこともある。立場が変われば正義の意味も変わる。絶対の正義などないのだと。
キム・ガンウ演じるキル・スヒョンの抱える闇にいつしか巻き込まれそうになる。圧倒されるような気持ちで彼の過去や行動を追体験した気分。どの場面も表情がとても良い・・・ このドラマの演技でキム・ガンウすっかり魅了されて思わず次も彼が出てるグッバイミスターブラックを見ましたよ。海雲台の恋人たちは、ラブコメだと軽い気持ちで見たけれど、記憶を無くして空白になった時のちょっとおバカっぽい突き抜けた演技が逆に実はすごいものなんだなと改めて思ったり。
そしてパク・ヒスン演じるオ・デヨン刑事もまた最高でした。動物的な勘で動くような気のいい刑事だった彼が最後には正義の闇に足をすくわれるところを見るのは、辛くもゾクゾクしてしまいました。キル・スヒョンの心から溢れ出して地上にまで流れ出している黒い墨にオ・デヨンが足を踏み入れてしまって靴から体にじくじくと墨が染み込んでいくのを見たような。
パク・ヒスンという役者さんもすっかり好きになったので、出てる作品をチェックしよう!と誓いました。
そして、チームの紅一点チョ・ボアもすごく良かったのです。彼女は、美男バンドの時から可愛くて好きだったけれど、今回はサイバー局のホワイトハッカーをクールに演じています。デビューの頃から比べたらずっと演技がうまくなっていて驚きでした。いるだけで可愛いような顔だけど、それをうまく抑えてカッコよく見せれてるのがすごくいい。
変にロマンス的な部分が無かったのも良かったな。3人のつかず離れずのバランスが少し危うくて緊張感もあり、でも絶妙な関係。そんな部分もうまいなと思ったところでした。
それから主題歌も耳に残る印象的な歌。
女性の声と男性のラップという構成はこれまた印象的だったキルミー・ヒールミーの主題歌に似ているかな。歌自体は全然違うけど、どちらも女性の声がとても高くて美しい声なので、心に残ります。切ない。
タイトルにあるMは、Missing、Mystery、Murder、Message、Meetなどを指してるのかな。失踪した人々と捜査する人々の希望と絶望を鮮やかに描き出していつしか視聴者も自分の心に対峙することを余儀なくされるようなそんな感覚のドラマ。
失踪者たちのそれぞれのストーリーの最後はどこか苦く、だからこそ心に残るのかもしれない。
今のところ私が今年見たドラマで1番好きかもしれません!
もう一回見ようかなと思うぐらいです。
あ、カン・ハヌルも死刑囚の役で出てますが、歯を見せて笑うのが背筋が寒くなるくらい怖い。でもこのエピソードの結末も一筋縄では終わらずで、表面的に見える表情などよりも裏側がもっと怖かったり。台詞や構成など本当に練られたドラマです。続編もあればいいなあ・・・絶対に見る!