なんとなくパッケージの女性の美しさに惹かれて見た映画なんですが、これは・・・!という結構な衝撃を受けました。とてもよかったです。「ふたりの人魚」ちなみに一応、中国映画と書いたけれど、本当は中国とドイツと日本の合作映画なのだそうです。2000年のロッテルダム国際映画祭タイガー・アワードやら、パリ国際映画祭最優秀主演女優賞をジョウ・シュンが受賞しているそう!納得の素晴らしさでした。
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原題は『蘇州河』、そして邦題で『ふたりの人魚』になってしまった。実はこれにすごく残念な気持ち。主役の「俺」は、ビデオカメラマンで、あくまでも彼の存在はカメラに映らず、彼が撮っているビデオをいう形で物語が描かれて行くのが非常に特徴的なんです。そしていつしか、ああ彼の存在はもしかして、『蘇州河』を擬人化したものだったのではないかと思えてきました。だから最後に彼はメイメイを探しに行かないし、探しに行けないのです。流れていく物語も人々の営みも水の流れも、河はただそこにあってすべて見つめていることしかできないのだ、と。なので人々の暮らしを見ている俺=蘇州河が主体の映画なので見られている側のムーダンとメイメイが主体のタイトルにすると本質を捉えられていないように思えてしまいます。そういう意味で、私にとっては邦題はどこかずれていて残念だなあと思う。
が!そんなことは置いておいて、主役の「俺」をビデオカメラマンにする設定だとか、そこからもう素晴らしい感覚?才能を感じて、は~と感心してしまうのでした。そして女性たちに人魚にまつわる話を絡めて描いているのも河を泳ぐ生き物というイメージがあってその設定も美しい・・・
そして、ジョウ・シュンの演技も本当に素晴らしい。まだ幼いムーダンと妖艶なメイメイを一人二役で演じていますが、この映画にミステリアスさのスパイスを加えたのは間違いなく彼女の演技。それにしても私はなんとなく見た映画にジョウ・シュンが出演していることが多いのに、視聴中には全く彼女だと気づかないのですよ!!!見たのは画皮、魔術師Xのダブル・トリックだけど、後で調べて言われてみればジョウ・シュンね~あ~って思うんだけど、どうもその時々で雰囲気が全然違うので、同一人物だと分からない!それはきっと彼女がとても演技が上手だからだな、とこの映画を見て実感しました。
マー・ダーにムーダンについて何度も聞かされるうちにメイメイはムーダンに憧れるようになったのかもしれない。左の腿に薔薇のタトゥーシールを貼れば、自分がここにいなくなってもムーダンのように誰かが私のことを探してくれると信じたかったのだろうか・・・
2000年辺りの上海の蘇州河べりの風景は生活感が溢れていて、でも繊細な映像がどこかスタイリッシュで魅力に溢れている。すっかりそのパワーにあてられてロウ・イエ監督の他の作品も見たくなりました。見たいと思ってまだ見ていない「天安門、恋人たち」と大好き黄軒も出演している「ブラインド・マッサージ」は絶対に見なきゃだ!