全然気づいてなかったんですけど、前回の記事の更新でなんと1000記事目でした!なので、今記事で1001記事目。細々と続けてきたらいつの間にかそんなにたくさん!になっていました。最近、特にまれな更新となってしまっているので、心機一転頑張らなくてはなあと思うのでした。頑張ろう。
先日見て心に浸透してくるような感覚になった映画の感想をまず書こうと思います。
タイトルは「ひかり探して」。ストーリーに関してはほとんど前情報なく、ただキム・ヘス主演という事でそれだけで安心して見に行った感じ。その感覚は間違いではなく、期待以上にしみじみと良い作品でした。
夫の浮気で離婚調停中&休職中の刑事ヒョンス。懲戒免職を免れる助けになるからと任された事件の調査に離島に向かいます。遺書を残して自殺されたとされる女子高生の事件なんですが、遺体が見つかっておらず、失踪なのか自殺なのかを解明するために真相を探っていくうちに、孤独な少女とヒョンス自身の状況を重ね合わせるようになりのめり込んで行くのだが・・・という感じ。
この映画はメインの出演者は女性3人。キム・ヘス演じるヒョンス、ノ・ジョンイが演じる女子高生のセジン、イ・ジョンウン演じるセジンの隣人の口のきけない女性。彼女たちの演技が素晴らしいのは間違いなく、また更に脇を固める役者陣もよく見かける演技巧者達で、脚本以上の成果が出ているのではないかと思っちゃったな。もちろんキャスティングも作品の大事な要素の一つなので、相乗効果バッチリ。
ヒョンスの浮気した旦那役がキム・テフンなのもドンピシャ過ぎて大興奮したし。そんなワンシーンだけ出演の人たちも持ち味を最大限に発揮しているのでした。
そういう要素ももちろんのこと、ストーリーも良いです。ミステリー仕立ての組み立てにしているのも良くて、ずっと飽きずに思わず画面に見入ってしまう感じ。怪しいと追っていく人たちが結局のところ犯人とか悪人とかではないのですが、その過程があることで、ヒョンス自身も気づいていたように、守るべき立場の人たちがセジンを利用していたのが、白日の下に晒されていくのを追体験するような気分になる。
ヒョンスは女子高生がみんなに守られず利用されて自殺してしまったんじゃなくて、生き延びていける世界を信じたかったんじゃないかと思う。だから捜査もなかなかやめられなかった。彼女が死を選ばずに生きていける世の中だったら、全てを失った自分でもなんとか生きていける気がするから。
この映画の真ん中にあるものは共鳴。分かりやすいヒーローなんて出てこないし現実にもいない。でもわたしたちが生きていく上で必要な本当にか細いかもしれないけれど、それがあればたしかに生きていける、そんな種類の連帯感みたいなものを浮かび上がらせてくれて、そしてそれがたしかに私の明日への力ともなるのだと信じさせてくれる。それがどんなに細くちぎれそうな糸なのだとしても。
最後のシーンの不自然なほどの光に満たされたシーンは、きっと監督がすごく撮りたかった図なんじゃないかと思う。ちょっとストレートすぎるきらいもあるけれど、誰が見てもわかるようにはっきりと希望の光を描きたかったんじゃないかな。
うーん。韓国映画は日常にあるささやかな光を炙り出して描写するのが本当にうまいなあ。当たり前過ぎてなかなか気づくことができないものたち。シークレットサンシャインの頃から、最近のはちどりやこの映画も。表現したいものに対する監督たちの毅然とした意志を感じるのであった。
じわじわと余韻が心に染み込んでくるようなそんな映画でありました。