【韓国映画】人狼 の感想 日本のアニメ『人狼 JIN-ROH』の実写版映画

韓国映画の「人狼」を見ました!これは押井守原作・脚本のアニメ人狼 JIN-ROH』を原作として舞台を朝鮮半島に変更して作られた映画だそうです。日本の映画やドラマに疎く、アニメにも明るく無い私ですが、さすがに押井守の名前くらいは知っています。この作品を実写化するというのはきっと韓国にも彼の作品を見て影響を受けた人がいるんだろうなー!キム・ジウン監督もその一人なのかしら。

 

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アニメ版でもきっとこだわって形作られたであろう特機隊のスーツや上からの角度で撮られた構図など、様式美が感じられて実写版を製作するにあたってかなり心を配ったんだろうなと思われる部分が多々ありました。そのおかげか独特の空気感がとてもカッコ良かったです。地下道のほの暗さとか街の雰囲気の暗さとかそういう照明の使い方も好みでした。

ハン・ヒョジュの演じたイ・ユニもちょっとミステリアスな雰囲気もありつつ良かったかな。セクトの構成員なんだけど、公安に利用されるユニの心が暗闇に灯る蝋燭の炎のように揺れるの様子に見ている方も緊張してしまった。

ジュンギョンと二人で赤ずきんの話をするシーンが特に好きでした。「赤ずきん」が表すいわゆる左翼組織と「狼」が表す体制側の対立を表してるってことでいいんでしょうか?そこから特機隊の名称の「人狼」が生まれたんだよね?

映画という短い尺なので仕方ないのだけど、もっと複雑な入り組んだ話だと思うのに、敵がキム・ムヨルが演じるハン・サンウ一人に集約されている感があったのはもったいないような気がしてしまったかな。彼の特機隊への敵視とかも分かるような分からないような感じだったので、もう少し彼の身上の描写があったら良かった気がする。あとはキム・ムヨルは嫌いではないのだけど、どうしても敵としては小物感があるんだなー まあこれは私の勝手な意見ですが・・・

あとはイム・ジュンギョンを演じたカン・ドンウォンもチャン・ジンテを演じたチョン・ウソンもカッコよくて素敵だったです。カン・ドンウォンは任務を全うするんだけどどこか繊細でそこに徹することが出来ない人っての似合うねえ。基本的にちょっと切なそうな顔なんだな。そこがいいんだけど。

ちょっと残念だなと思うのは、ジュンギョンとジンテが闘うシーンで、二人ともパワードスーツを着てるんだけど顔の部分だけ外してたところですよね。両方着てたらどっちがどっちか分からなくなるからという視覚上の問題でだろうとは思うけれど、そうしてしまうと突然ここでそのパワードスーツを着ることについての定義が意味をなさなくなってしまうのでは?なんて思うよね。ちゃんと頭部も装着して闘って最後に外してどっちか分かるってのが良かったんじゃないだろうか、なんて。

まあでも気になったのはそのくらいかな。ちょっと内容的にもマニアックな気がするので、万人受けするストーリーでは無いような気がするんですが、細部までこだわって作ったんだろうなと分かる作品が好みなので、私は結構楽しめました。原作のアニメを見ていなくても大丈夫でしたよ~!

 

人狼が見れるのは・・・
⇒Netflix

【韓国映画】アシュラ の感想 こんな街には絶対に住みたくないよー!

映画のアシュラ見ましたよー 韓国ノワール映画と分かって見たもののはるかに想像を超える強烈さでありましたなあ・・・

Asura:The City of Madnessという英題がすごくピッタリな感じで、本来正義の味方であるべき警察や検事、そして市長まで悪人しかいなくってまさに狂気の街なんですよね。血を血で洗う地獄絵図なので「うわあ・・・」と思う事間違いなしです。香港ノワールはもう少し人同士の繋がりの義の部分に重きをおいて、その中での意外な裏切りを描くイメージだけど、韓国ノワールはまた一味違うんだなーとは思いました。

 

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チョン・ウソンが演じるハン・ドギョンはやることやることが裏目に出る感じで、どんどん深みにはまって行く警察官。チュ・ジフン演じる後輩警察官のソンモをパク・ソンべ市長の下に送り込んだけど、そんなことをしたら最終的に先輩と後輩のの関係がそうなってしまうって分かってたよね・・・なんて思ってしまった。この部分だけは空しく切なかったなあ。

それにしても、やっぱりこの映画で一番凄かったのはファン・ジョンミンが演じるパク・ソンべでした。気の狂いっぷりが突き抜けててここまで来ると見ててちょっと爽快感を感じてしまうぐらいです。水をこぼした後に乾かすためにズボンやパンツを抜いて下半身丸出しでドギョンと話してるシーンとか怖くて震える。撃ち合いして血が流れてるようなシーンよりも話をしている方が狂気がにじみ出ててゾっとする感じなんですよ・・・

ファン・ジョンミンを初めて見たのはアクシデント・カップルのドンペクという純粋な郵便局員役だったので、この映画の市長役とは180度違う役柄なんですけど、それぞれの演技で役の人になり切っているので全く違和感なく作品の世界にいざなってくれるなあって感心します。マジ凄い。

ハン・ドギョンが同僚を屋上から突き落として殺してしまったシーンからもう嫌な予感しかしない始まりで、その後の彼らのあがきは不毛だなあという虚しさも感じるけれど、やれるだけやり尽くした血まみれな死闘が繰り広げられて迎えたラストはまあ納得感もあってどこかスッキリした気分にもなったような気もする・・・ うーん。どうだろう。まあでもこんな街には絶対に住みたくないね!マジで!

 

アシュラが見れるのは・・・





【韓国映画】私を忘れないで の感想 それでも忘れられずに何度でも出会うのだろうか

「私を忘れないで」の視聴を終了しました。私の頭の中の消しゴムに出演したチョン・ウソンが今度は彼自身が記憶を失ってしまう側です。

胸が締め付けられるような切ない救いのないストーリーのようにも思うし、記憶を失ってもそれでもやっぱり何度も出会ってしまうというのは救いのようにも思えて複雑な気持ちになる映画であります。

原題が「나를 잊지 말아요」、邦題が「私を忘れないで」でほぼ直訳ですね。この言葉が誰が発したものなのかというのもポイントだと思うんだけど、英題だと”Remember You”になっているのが興味深い。映画の中で最後にこのセリフを言った声はソゴォンのだったと思うんだけど、英題をつけた人はどうとらえてるのかな?ソゴンとジニョンの関係がお互いに「私を忘れないで」=「あなたを忘れない」であるともいえるかもな、なんて思ったりもする。うーん。深いわ。

 

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この間見た映画の監視者たちではチョン・ウソンはクールな悪役を演じていてそれもめちゃ良かったんだけど、この映画のように情感たっぷりの演技もやっぱりいいですね。ストーリー運びがやや淡々としていて、チョン・ウソンとキム・ハヌルの表情がすべてというような映画だけど、それで十分成り立っていて引き込まれてしまう。

記憶を失った時の表情、そして結局またジニョンに惹かれていく時のソゴォンの表情。記憶を取り戻してしまった時の表情。そしてまた忘れてしまって無へ。

相手の存在を忘れないと生きていけないのに、記憶から消し去ってしまうことは出来なくてまるでメビウスの輪のように何度も繰り返すであろう二人の出会いと別れが切ないです。忘れればすべて過去と言っても本当に忘れてしまうことは出来ないのです。

これも愛のひとつのカタチなのでしょうか。そうだとしてもとても苦しい愛。でも幸せな愛でもあるのかしら。彼らの関係と同じように視聴者の心にも答えが出せない映画のような気がしますね。ただひたすら切ないのでした。

 

私を忘れないでが見れるのは・・・
⇒Netflix