【韓国映画】はちどり の感想 それでも世界は美しいと信じたいんだ

「はちどり」は、どこか胸の奥がチリッとする映画だった。

積み重なる「女の子なんだからこれはしてはいけない。こうしなければいけない。」は、心を疲弊させる。それは多分、一生付き纏うものなのだ。

もちろん、女性にせよ、男性にせよ、どちらもそれぞれに不自由が存在するのは理解しているのだけど、不自由の種類は違う気がする。「男らしさ」はもっとやれと要望、要求を求められるイメージ、「女らしさ」を求められる時、それは抑圧、制限として現れることが多い気がする。正確には私は女性側のことしかきちんと理解できていないとは思うのだけど、私の経験から言うと、能力があっても「女だから」という理由でやる必要はないとやらせてもらえないことがよくあった。例えば勉強、仕事、家庭など本当に全ての場面で。体格差のせいで出来ないとかそういう部分を差し引いてもあまりにもそういうことが当たり前のように存在していて、生きて行くためにそれに対する感受性を鈍くする練習を積んできた気がする。けれど、この映画を見てそうやって隠してきた感覚があらわにされて、そのせいで胸がチリっと痛んだのかもしれない。

私はこの映画の中の家族で見られるほどの男尊女卑を経験した訳ではないし、暴力をふるわれていた訳ではない。けれど私も兄がいてずっと比較されて生きて来て、家族からの言葉に確かに傷ついて、ウニのように孤独だった自分を思い出してしまうのだった。

映画を見た瞬間のその雫は岩をうがっただけなんだけど、内容を思い出す度にその雫が落ちて穴が大きくなり、最後には底まで開いた穴から涌き水のように感情が徐々に湧き出てくる感じがした。しばらく、余韻に浸っていたし、未だにこの映画のことを思い出すと感情が溢れてしまう。劇場公開時の今から1年半前くらいに見たのに!

それにしても。監督が表現したいことをここまで繊細に具体的に映像化できてしまう才能に感嘆してしまう。この感じはロングデイズジャーニーの映像を見た時と少し似た感覚かもしれない。

理不尽な世界でやっと見つけた確かな光のようなもの、それは先生もだし他の大切なものも突然失ってしまうし、永遠ではなくて。そんな風に見つけた光は掴むことも出来ずにたやすく消えてしまうけれど、それを諦めずに繰り返す。またそんな存在に会えるのかもしれないと、そこに残ったのは確かな希望なのだった。私たちの生活とはそんなささやかな光を集め続けることなのかもしれない。

大事にされていないと思っていた自分の存在だけど、病気になった時に心配する両親の姿を見て、実は大切にされていたと知ること。だけど、親も昔からの男尊女卑の時代のルールに従って生きていて、それが当たり前の意識として存在していることも思い知らされる。誰かに認められたいだけなのに人々はそれぞれあまりにも生きることに疲れている。

画面に映しとられた木漏れ日があまりにも美しく、理不尽な世の中だけれど、それでも世界は美しいと信じられる気がした。もしかしたら「信じたい」かもしれないけれど、そう思わせてくれることが既に希望なのだった。

私たちは理不尽と希望の折り合いをつけてしなやかに生きて行くことが出来るのだろうか。

 

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【韓国ドラマ】空から降る一億の星 の感想 抗えない運命に絡め取られる二人

「空から降る一億の星」の視聴を終了いたしました。これは日本のドラマに疎い私でもタイトルを聞いたことがあるくらいの日本のドラマの韓国リメイク版です。しかし、日本のドラマの方はいつもの如く見てないので比べることは出来ないんですけどね。

しかし、日本の方のキャストを見てびっくりしたのは、明石家さんまが出てたってこと!韓国版ではパク・ソンウンが演じてた兄の役か~ 全然タイプが違う気がするので、どう違うのか比べてみたくなりました。キムタク→ソ・イングク、深津絵里→チョン・ソミン辺りはまあ想像の範疇かなって気はする。でも「悪い男」の意味がキムタクの方が色気を利用した男の悪さが強くなる気もするかなあ。

あと、日本のドラマだと「実は小さい頃に出会っていた」という設定があんまり一般的じゃないというか、そういう幼い頃からの運命の恋みたいな描写がどのドラマでも出てくるって感じじゃないから、その要素がこのドラマで効いて来る印象がある。でも韓ドラだと珍しくない設定だから、このドラマの悲恋が特別じゃないように見えちゃったかなあ。面白くなかったとかじゃないんだけど、既視感を感じてしまうような、そんな感じはあったかな~

さて、韓国版について。ラストが、ああこういう悲しい感じねとしみじみしちゃったんだけど、切なさとかとはちょっと違う感情かもしれない。でもこのストーリーに出て来た登場人物たちが運命の渦の中に巻き込まれて逃れること出来ないのを見ると、人生ってそういうものなのかもしれないなんて考えたりしました。ムヨンもジンガンもジングクも、運命に絡め取られて身動きが出来ないのが苦しい。

ドラマ自体の大筋はサスペンス的な要素、運命的な愛と見ごたえもあったんだけど、細かいことがわりと力技な展開やなと思うところは多かった~ 例えば、ペク・スンアとチャン・ウサンとの交通事故で、ムヨンだけあんな風にほぼ無傷で生き残るとかあります!?んな訳ない!みたいな風に色々気になることはありました。

ソ・イングクはただのイケメン役よりはムヨンのような癖のある男の役があってて良かったし、見てよかったです。そうそうThe Witch 魔女ですっかり好きになったコ・ミンシちゃんも出てたんですよ!やっぱり可愛いかった~

 

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【韓国ドラマ】イケメンアーチェリー部~妄想女子のBL観察記~ の感想 意外と面白かったよ!

「イケメンアーチェリー部~妄想女子のBL観察記~」というタイトルを見て、正直なところなんだこれは!?と思いながら、ちょっと覗いてみようみたいな気持ちで見てみたら、ソ・ジフンも出てるし、ヒロインの元LOVELYZのKeiちゃんもお茶目で可愛いしで結局楽しんでたらあっという間に最後まで見終わってました!

特別BLが好き!とかじゃないんだけど、このドラマみたいに男子学生がわちゃわちゃしてるのを見るのは結構好きだし、ブロマンス的なのはときめくし。そしてメイキングなどもあるのでそれを見たら、みんな頑張って演技してる様子が見れてとても好ましい~

コーチ役のチョ・ジェユンもいい感じにコミカルだし、キム・チャンファンが一番のモテモテ役でファンがいっぱいいたりとか、随所に面白ポイントがあって、思わず声を出して何度も笑っちゃいました!

ストーリーも分かりやすいです。BL漫画家を目指しているホン・スアはデビューを目指して、題材を探し中。そんな中、アーチェリー部のXテンのメンバーに出会い、萌えエピをゲットしようとマネージャーとして潜入しちゃうって話。みんなで一致団結して大会に向けて頑張ったり、スアが何をやろうとしてるかバレちゃったり、でもやっぱり仲間と認めてもらえて漫画家デビューも出来たりと、ザ・青春!って感じ。

登場人物のみんなもいい感じ。まずヒロインのKeiちゃんはとってもキュート!彼女の腕時計がカメラになってて、それで盗撮してる姿まで微笑ましい(本当にはやっちゃダメだけど)。さすがアイドルって感じで、ジャージ着ててもやっぱり可愛いもんなんだなと感心しました。

Xテンメンバーの中では、ジワン役のソ・ジフンがメインなのかな。今も子犬っぽいけど、この時は更に線も細いし、笑うとまぶしいくらいに可愛らしいし、あまりにもこの役に似合ってましたよね。その幼馴染役のスンジュン役はペク・チョルミン。ソロモンの偽証とかで見たことがあるかな。クールな彼とジワンのじゃれ合いは良かったです。スアの妄想の餌食・・・
眼鏡先輩役のチャ・ジフンも秀才役が合ってましたね。他にドラマとか出てないかなと調べたんだけど、月桂樹洋服店の紳士たちの子役で出てるくらいかな?やっぱりBLの中には眼鏡キャラも必要不可欠なんだなと納得したわ。

主将役のヨン・ウはムキムキ。ユニフォームが彼だけノースリーブだったりするのも細かいし、チャ・ミン役のキム・チャンファンだけ襟に花がついてたりするのも笑えたな!

1話が15分×8話で短いし、うまくコミカルに作ってあるし、非常に楽しく見て満足しました。めっちゃ面白かったなあって思ったんだけど、語彙が出てこなくてうまく表現できない~ 多分、BLというかクラブ活動ものが結構好きなのかもしれないな~私。

 

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【韓国ドラマ】カネの花~愛を閉ざした男~ の感想  見ごたえありの復讐もの

「カネの花~愛を閉ざした男~」の感想を書きますよ・・・!こちらはもう本当にかなり前に見たドラマなので、思い出しながら書く感じなんですけどね。頑張る。
実はあんまり復讐ものが得意ではない私でもかなり夢中になって見たドラマだったんです。冷静沈着な策略家のピルジュの復讐劇は、血で血を洗うとか、金や地位を奪うという単純な形で終わらなかったので、非常に面白かったです。そして、そんな冷静な彼がある女性に対してだけ心が揺れてしまうという設定も好きでした。

ピルジュ役のチャン・ヒョクは当たり役でしたね。彼は表情は豊かなタイプではないので、このドラマの気持ちを胸のうちに秘めているピルジュ役がピッタリ。
それに、プチョン役のチャン・スンジョもとても良かったです。ダメダメでもどこか憎み切れない御曹司役も、そんな彼が少しずつ変わっていく様子も非常にうまく演じていて魅力的でした。そうじゃないと仕組まれたとはいえ、モヒョンみたいなタイプが彼と恋に落ちるのをリアルには感じられなかっただろうと思います。

他の脇を固めているサブキャラたちもベテランで安心感があったな~
ハン・ソヒもなんとなく影の女が似合う雰囲気のある美人だからこういうソウォン役も良かったですけど、最近はすっかり主役級の女優さんになって凄いですね。
イ・ミスクのマルラン役もとても良くて、彼女のピルジュへの信頼って少し度を越したところがあって、それは彼女が母というより女の部分を醸し出せるからこそなのかなと思うのです。事実は知らない時でも、マルランはもしかしたら亡夫の面影をピルジュに感じ取っていたのかもしれないななんて。なんとなく思ったりして。

このドラマは韓国でもとても視聴率が良かったらしいです。私の好みはかなり偏っているので、人気のほどと自分の興味が合わないことも多いんですが、このドラマは人気の理由も納得で、とても面白かったです。いわゆるピルジュの緻密な計画が地に足を着いてて、そんな訳ないでしょと思わされずに見れたのが良かったのかな。あとはマルランとソンマンの勢力争いという構図も面白かったし、自分の利のためには親子でも裏切るというソンマン親子も面白かったですし、あとはモヒョンという自立した考えを持ってる女性の存在も良かったのかもしれないですね。彼女の存在があることで、更に対立の構図が複雑に絡み合って面白かったと思います。

ラストもよく練られた納得の終わりで、復讐ものだけどまともで現実的な終わり方をして反対にビックリしましたよね。そこの近くにいて、お金にも権力にも飲み込まれない生き方って出来るものなのでしょうか?それとも、本当に大切なものは目に見えないものなのだと理解していればそれが出来るのでしょうか?

 

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【中国ドラマ】2度目のロマンス の感想 逃げずに話し合うことって大事ですね

「2度目のロマンス」の視聴を終了いたしましたよ~ チャン・ハンとチャン・チュンニンの組み合わせと言えば、四大名捕を思い出します。あの頃に比べたら、すっかりチャン・ハンが大人になったなあなんて思っちゃったんですけど、2015年と2018年で3年しか製作年数が変わりませんでした。あれ?今回が社長役だったり、オールバックにしてたりするからかな?すごく落ち着いた風貌に見えてそう感じちゃいました。

邦題は、2度目のロマンスなんですが、原題は「温暖的弦」です。チャン・ハンが演じるのが占南弦(ジャン・ナンシエン)、チャン・チュンニンが演じるのが温暖(ウェン・ヌアン)ということで、二人の名前にかけたタイトルなんだろうけど、確かにこれは翻訳するのが難しいなあなんて思いました。

このドラマは小説のドラマ化だそうなんですが、きっと小説ならサラっと読めそうな気がする部分も、映像化されるとなんだかな~と思ってしまう箇所が多かったかもしれない。離れてもお互いに一途に愛し合っている・・・というのはロマンチックな関係だと思うべきなのかもしれないけど、この二人の場合はそう見えなかったのが非常に残念でした。なぜだろう。

まあ、かなり引っ張って明らかになった二人が離れた理由がまずよく分からんというか納得感がないというか。それが理由で離れる二人なのだったら、それほど愛し合ってた訳じゃないのかな~と思っちゃった。そして、離れている時間にもまわりを巻き込み過ぎてて迷惑をかけてる気がして、なんともかんとも二人に対して好感が持てない気分にもなっちゃった。あと、そうやって離れた後にそのせいで起こった家族のことも、もう二人は縁が無かったと離れる方がいいんじゃないと思ってしまうような内容だし。それさえも乗り越えて、愛し合う二人の愛情が尊いのかもしれないけど。そうは思えず。うむ。

結局、ちゃんと話し合わずに突然消えるという手段を取り合うので、ただ問題から逃げてるだけじゃんみたいな気持ちになります。若い頃のヌアンのイギリス行きはまだいいとして、ラスト近くでナンシエンが消えた時には、もういい加減にして欲しいと思ってしまったのね。どうなんでしょう?私がロマンチックを感じられなくなってるだけかもしれないのだとしたらそれは悲しいけど!

そんななかでちょっとだけお気に入りだったのは、多分主要人物のなかで一番影が薄いガオ・ファンを演じていた季肖冰(リー・シャオビン)。眼鏡が似合ってて、すっきり顔のイケメンで好きー!この役だけ個別のエピソードがなくて寂しかったけど、私の記憶には刻みましたよ。ただ、眼鏡が似合ってて素敵と思ったんだけど、かけてたのはこの時だけで普段は眼鏡キャラではない様子。他の作品でも見てみたいな。去年放送された「你是我的荣耀」はヤン・ヤンとディリラバにも出演してるみたいなので、このドラマなら日本でも放送されるのではと期待してます!待ってます。

という訳で、このドラマを見て感じたことは、問題から逃げずにきちんと話し合うことが大事だなと思いました。きちんと解決しないと引きずるし、余計にひどいことが起きてこじれるし、他の人の思いさえも引きずらせてしまって問題が大きくなるんだなとそう思いました。気をつけようっと。

 

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