【台湾映画】フラワーズ・オブ・シャンハイ の感想 息をのむ美しさ

今日は、最近劇場で見た「フラワーズ・オブ・シャンハイ」について書こうと思います。この時は、侯 孝賢(ホウ・シャオシェン)監督の特集上映で、憂鬱な楽園と二本立てで見ました。全く違う映画のようでいて、やはり彼の作品だな~と思った部分もあったので、早いところ両作品の感想を仕上げてしまいたいと思います。

今まで、そこまで俯瞰的な感覚で見たこと無かったんですが、今回改めて感じたことがありました。台湾ニューシネマを担うとされる同世代のホウ・シャオシェンとエドワード・ヤンについて、その撮影手法や画面の雰囲気は似ている部分はあるものの、実のところ根底あるものが正反対なのではないかとそんなことを思ったのです。

私はホウ・シャオシェンの映画も好きだけれど、なぜかエドワード・ヤンの映画の方に強く惹かれてしまう部分があったのです。今までそれに明確が理由が見つかってはいなかったのだけれど、もしかしてその訳は映画から漂うように感じる死の匂いのせいかもしれないと思ったのです。死への憧憬とは言わないけれど、生と隣り合わせにある「死」が色濃く表されていて、どこか死というものに対する興味を感じるというか、そんな感じ。そしてそのエドワード・ヤンの作品に惹かれてしまう私もそうなのかなあと思うのでした。死にたい願望があるとかか、そういうのとはまた違うんだけど、興味という言葉がやはり近いのかなと思う。

そして、今回このホウ・シャオシェンのフラワーズ・オブ・シャンハイという作品を見て明らかに感じたものは活力のある「生」の匂いだったのです。娼館や、アヘンとか、モチーフ的にはもっと退廃的な死の匂いを感じるものかと想像していたのに、それよりもそんな状況の中でも生き抜く娼婦たちの逞しさみたいなものを見た実感がありました。それは同時に見た憂鬱な楽園からも感じたので、彼の作品の中に生への賛歌のようなものが込められているような気がして、なるほどなあと腑に落ちた気がしました。あくまでも私の印象ではあるけど、監督本人からもそういう精神的なたくましさみたいなものを感じる気がして、そういう部分が作品に反映されるんだろうなとそんなことも思ったり。

ま、結論として、両監督の作品はやはりそれぞれ良いところがあって、どっちも好きで良いんだなってことですね。はい。

さて、そういう部分は置いておいて、上海租界の娼館という場所柄もあって、調度品や衣装の美しさたるや実のところその部分のこだわりを見るだけでも素晴らしいです。キャスティングも豪華で、ミシェール・リーやカリーナ・ラウの着こなしや強気な女役も素晴らしい。そして羽田美智子も雰囲気にとてもあってて全く違和感がないのも監督の凄いところだなと思うし。その三人の女性の部屋のシーンが蝋燭の炎が消えたりついたりするタイミングで場面が展開するのを映画館で見ていると暗闇に溶けて目を凝らしている気分になってとても良かったなって。得難い経験だよななどと思いました。

会食の場面で人々が集まってゲームに講じて盛り上がっているシーンを見ると、この監督は本当にそういう描写がうまいなあと思って感心するし、辮髪姿のトニー・レオンの美しさたるや衝撃的だし、上海語の言葉の耳障りも良くて、本当に好きな部分をいくらでも挙げられる映画だなと思うのでした。ほんと鑑賞後にいい作品を見たという気持ちに浸りました。映画館で見れて良かったです。

 

フラワーズ・オブ・シャンハイが見れるのは・・・

【香港映画】ハード・ボイルド 新・男たちの挽歌 の感想 銃撃戦も爆発も派手~!

「ハード・ボイルド 新・男たちの挽歌」を見ました!こちら、タイトルに男たちの挽歌とありますが、ジョン・ウーが監督というのは同じですが、あの一連の作品とは全く違う内容です。ただ、挽歌という言葉が似合わないでもないのです。だからいつも邦題になんやかんや言う私ですが、まあこの場合はつけたい人の気持ちは理解できるかな~なんて思うのでした。

 

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ジョン・ウー作品は銃撃戦やら爆発シーンやらが凄いですけど、彼の作品のかっこよさって「粋さ」から来てるんじゃないかな。

そういう意味では彼の表現したい「粋さ」を体現してくれるのが、チョウ・ユンファなんだと思うんですね。ほんとふとしたしぐさとか、行動とかにあらわれるもの。彼の存在がジョン・ウーの思う粋さのアイコンなんだろうなあ、なんて思う。

だから、ダブル主役な作品であるとは思うし、トニー・レオンは演技はさすがなんだけれど、その粋さの部分ではやっぱりチョウ・ユンファがその存在でメインになるんだろうな、と思うのでした。

こちらの映画は冒頭から飲茶屋での激しい銃撃シーンが繰り広げられるのですが、國村隼が殺し屋で出演しております。そのシーンで出番は終わりですけど、存在感があって良いです。目つきが最高です。

いやーあの飲茶屋でのおじさん達の鳥自慢しあう感じいいね。古き良き香港というイメージですね。ああいうお店は今はないんでしょうかね?そういう意味では、こうやってフィルムに残ってるのは良いですよね。日本ももっと今の風景を色々作品に残してこ!

そして、ジョン・ウー監督も出演しております。教官役でかなりセリフも出番もあります。私、彼のじとっとした存在感もわりと好きです。

アンソニー・ウォンも悪役で出演してますが、若い!彼はうまく行かないなら全部壊しちまえ!みたいなやばい奴。殺し屋も一般人も関係なく殺しちゃう。反対に彼の部下の殺し屋役のフィリップ・コクは、殺し屋にも一定の超えてはいけない一線があるという意見のある人。トニーとの撃ち合いでも一般人には移動しろって指示するしね。だけど結局、片目の殺し屋は、血も涙もないジョニーにやられちゃうんだけど、その前のシーンがあることで、映画自体の印象が全く変わる。まあそうじゃないと、飲茶屋やら、病院やらで銃撃戦も爆破もおかまいなくしてるからかなり非道な映画になっちゃうか・・・

あんまりにも火薬の使い方が激しいから途中で凄いなって笑いがこみあげてしまった!やっぱりジョン・ウーすごいなあ。半端ないわ。この映画が彼のハリウッド進出前の作品だったんですね。このなんともいえない衝撃は国境を越えるんだなあ。

ラストはこれってオープンエンディングなのかな?実は私はバッドエンディングと受け取ったんだけど、素直にハッピーエンディングと受け取ることも出来るのか・・・ このパターンは男たちの挽歌の時みたいに万が一の続編の余地も残してたのかななんて邪推もしつつ、まあそうでなくとも好きなタイプのラストでした。

 

⇒Netflix






【香港映画】ラブ・イズ・マネー の感想 トニー・レオンとスー・チーが主役のラブコメ!

「ラブ・イズ・マネー」を視聴しました!トニー・レオンもスー・チーも好きなので、Gyao!で配信してたので見てみたのでした。今の気分的にあまり重いテーマの作品より、単純に楽しいものを見たかったのでその気持ちにピッタリの映画で良かったです。

俳優さんって、重いテーマの作品に出たりすると、その役柄にはまり込んでしんどくなる人もいるんだろうな・・・と考えてしまう事もあるんだけど、香港の俳優さん達に限って言えば、深刻な役とコメディー的な役の出演作の振り幅が大きい気がするので、きっと大丈夫だろうなあなんて勝手に思っちゃうのでした。トニー・レオンもクールな役を演じてるかと思ったら、こんな作品にも出てるので、精神的にも非常に良いバランスなんだろうなあなんてことを考えた!ストーリーには全く関係ない!わはは!

 

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主役が誰かを見ただけで内容もなーんにも知らずに見たのですが、ヒロインのスー・チーの父親役でウォン・ヤッフェイが出てきたのを見て、これはコメディーだなとストーリーを察しましたよねー

なんでしょうか。彼が出てくるだけで思わず笑っちゃうんだけど、それってすごいことですねえ。素晴らしい存在感!そして監督はバリー・ウォンなんですが、彼の作品で思い出すのはゴッド・ギャンブラーシリーズかなあ。この辺りの映画も好きだったので、やたら高額の賭け金を表す広東語ばかり覚えてしまったというのを思い出しますなあ。実際には全く自分が使うことは無さそうな実用的じゃない言葉ばっかり!

ま、そんな感じで、コメディータッチだし、トニー・レオンは金持ちなのにめっちゃケチで極端な役だし、親友のトム役のラム・カートンも面白キャラだしで、クールじゃない姿が見れて面白いです。でもそんなこと言っても主役のトニー・レオンもスー・チーも美しいので、二人のキスシーンなんかはちゃんとロマンチックだったりするのよね。私が好きだったのは、二人がオレンジのアイスを食べながら町を歩いているところ。なんでこんなに絵になるんだよーって感じ。クールなトニー・レオンも素敵ですが、ふにゃ~と優しく笑う彼のが更に好きかもしれない。

最後はちゃんとハッピーエンドの安心感もあるし、お約束の出演者たちが沢山出てるのも嬉しいし、楽しめる香港映画であります。やっぱり語尾の伸びる音が多い広東語がちょっと力が抜ける感じがしてこのノリにとってもシックリ来るんだなあ。面白かったです!

 

⇒Netflix






【香港映画】楽園の瑕 終極版 の感想 ただひたすら幻想的な映像の美しさに浸る

「楽園の瑕 終極版」を視聴しました。楽園の瑕を見たような見ていないような記憶が定かでないのですが、どっちにしても終極版は見ていないのは確かなのでなんとなく気が向いたので見てみましたよ~ あの頃のウォン・カーウァイ作品はほとんど見たような気がするんだけどな。でもそんなくらいの記憶でいいのかもしれない。この映画で出てくる砂漠の風景みたいにその記憶も砂に埋もれてしまうくらいでちょうど良いのかもな。

 

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ウォン・カーウァイ監督作品というのは本当に独特の世界観がありますよね。この映画もそう。金庸の「射鵰英雄伝」に出てくる登場人物の外伝的なストーリーらしいのですけど、一般的な武侠ものとは一味も二味も違います。

欧陽鋒(レスリー・チャン)は西域の砂漠に腰を落ち着けているにも関わらず、なんだかロードムービーの趣があるような気がする。そこを訪れ去っていく人々がいて、出会いと別れを繰り返しているせいかもしれない。通り過ぎていく人々を通してみるのは自分の人生。欧陽鋒の体は旅していないのだけど、心は旅をしているように見える。それは砂漠に吹く風のせいなのだろうか?

それにしても豪華なキャスティング。黄薬師(レオン・カーフェイ)が酒を煽る姿が美しい。

剣士役のトニー・レオン。馬賊との闘いのシーンはカメラも人物の動きに合わせて動くスタイル。傍観者というよりはその戦いのまん中に放り込まれる感覚。これを物足りないと思うか、美しいと思うか。視力を失う役のトニー・レオンの光る白目部分とあれた唇が印象に残っている。

欧陽鋒の最愛の人の役はマギー・チャン。愛していると彼が言ってくれなかったからと兄嫁になる。この心の動きはどこか分かる気がする。忘れたくて忘れて欲しくない。そして忘れることなんて出来ないのに。

 

答えがあるようでない人生のロードムービー。そんなものを見ている気になる。沢山出てくる登場人物の中で、自分の見る時期によって誰の目線でこの映画を感じるかが変わるかもしれないなんて思う。待つだけなのか、追いかけるのか、後ろを振り返るのか、前に進むのか。意味を深く考えるのもいいし、ただ美しい映像と雰囲気に身を任せるだけでもいいのかもしれない。

 

楽園の瑕 終極版が見れるのは・・・



【香港映画】大魔術師Xのダブル・トリック の感想 色んな扮装をしてるトニー・レオンが楽しそう

このドラマも邦題を見た途端ちょっとモノ申したくなる予感はありました。原題の『大魔術師』がどうして邦題『大魔術師Xのダブル・トリック』になったんや・・・ 語呂から言うと容疑者Xの献身辺りの真似っ子なんだろうかと勝手に邪推したりして知らんけど。雷大牛が文盲でサインの際に×って書いてたからXなのかとも思ったけど、彼は魔術師ではないから張賢の中国語のピンインがzhāng xiánだからこのXなのだろうか。でも私もわざわざピンイン変換のページに調べに行ったし普通の日本人は中国語の発音なんて知らんやん!?は~視聴者に伝わらないこだわり止めてほしい。

 

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さて、最近そんな事ばっかり言ってるんで、それは置いといて。
男たちの挽歌を見たらなんとなく香港映画を見たくなって、でもあんまりハードボイルドは疲れるからもうちょっと軽めのやつでトニー・レオンも出てるしなんとなく安心のクオリティーなんじゃないかと思ってこの映画を見始めました。そして見てたらラウ・チンワンも出てて、おー懐かしいなあ彼が出てる映画見たのってイー・トンシン監督のつきせぬ想い以来なんじゃないかしら~なんて考えてたら!なんとこの映画も同じ監督の映画でビックリ。わお。

一時期、香港映画を借りてめっちゃ色々見てた時期があったんですよねえ。懐かしい。しかし、この映画は香港映画だけど広東語じゃなくて北京語だな~ 今はそれが一般的なのかな?それとも北京が舞台の映画だったからかな?

ストーリーは軽妙で洒脱です。軍閥時代の北京が舞台なので日本人も出て来ます。でも軽妙なタッチの映画なのでそこまで酷い悪人という感じでは描かれていないかな・・・

この映画の見どころは素敵なお衣装なんじゃないでしょうか?チャイナ風の衣装なんですけど、顔までかかるくらいの襟でそれを女性も男性も着こなしていてとても素敵。そしてトニー・レオンは主役のマジシャン役なのですが、ちょっと彼自身も楽しんじゃってるんじゃないのって感じのコスプレ風衣装を色々着てます。インド人風の衣装とかね。そうなんだかこの映画、トニー・レオンが終始どこか楽しそうに見えるので私もなんだか見てて楽しかったんですよ~

ヒロインの柳蔭役のジョウ・シュンもミステリアスな美しさでとても良かったです。画皮であやかし役だった彼女ですね。印象に残るタイプの顔の女優さんだな。

ラストもトニー・レオンが主役だからヒロインとうまくいくのは彼なんだろうと思ってたらそこは一筋縄ではいかない感じ。そんなところもヒロインのしっかりしたキャラと合ってて良かったなと。

トリック自体は最後もそんなお手軽なんすか!?という感じだったし、魔術的なトリックは見応えがあるとは言えないけど、映画自体は面白くて楽しかった。何よりなんだか出演者の方々もちょっと楽しんじゃってる感があって、そこがなんか良かったです!

 

大魔術師Xのダブル・トリックが見れるのは・・・